マンスリーレビュー

2017年11月号ヘルスケア・ウェルネス

医療・介護・福祉の「顔の見える関係」

同じ月のマンスリーレビュー

タグから探す

2017.11.1

ヘルスケア・ウェルネス事業本部山田 浩祐

ヘルスケア・ウェルネス

POINT

  • 2018年度、診療報酬・介護報酬の同時改定を契機に社会保障制度が変化。
  • 医療・介護・福祉の連携ニーズが高まる。しかし、合意形成に壁。
  • 異なる事業者・多職種の連携には「顔の見える関係」の構築が大切。 
 2025年に団塊の世代が後期高齢者へ移行することを見越して、2018年度には、診療報酬・介護報酬の同時改定や、第7次医療計画、第7期介護保険事業計画、第3期医療費適正化計画の三つの施策が相次いでスタートを切る。地方自治体が推進してきた医療・介護・福祉の取り組みが節目を迎える。

 2018年度にスタートする施策には、増加する社会保障費の適正化に加え、医療・介護・福祉の一体的な連携を図る目的がある。課題の解決に向けて本来は、行政機関、医療機関、介護施設、在宅支援事業所などの連携が不可欠だ。しかし、現実には、医療・介護・福祉で制度が異なり、事業主体も異なることから、これまで十分に連携が進まなかった。2018年度以降はシームレスな提供体制が整い、異なる事業主体間の合意形成が進む可能性が強い。

 医療・介護・福祉の壁を乗り越えた先行事例として、千葉県柏市における在宅医療推進の取り組みが挙げられる。柏市では行政が事務局となり、医師会をはじめとした医療・介護などの関係団体が連携のためのルールを協議し、在宅医療・介護の多職種連携を進めている(図)。特徴的なのは「顔の見える関係会議」という名の、課題把握や意識啓発に向けた討議の場を設けたこと。柏市内の在宅介護サービス関係者100名以上が一堂に会し、連携を強化するために意見を交わしている。市と医師会が協力し、在宅医療の推進に向けた研修を実施し、医師および介護職など多職種の「信頼感の醸成」や「顔の見える関係」を構築できたことが大きい。

 人口や患者動態、医療機関や介護施設の設置状況などの違いから、それぞれの地域が抱える課題、目指すべき方向性は全国一様ではない。地域の特性にそぐわない連携ルールは、事業者や住民にとって一方的な押しつけにもなりかねない。地域の実態に即し、関係者間で納得のいく連携ルールづくりが鍵となる。柏市のケースが示すのは、成果やノウハウの共有だけでなく、地域に根ざした地道な交流やコミュニケーションの積み重ねが重要だという点であろう。
[図]柏市における在宅医療推進の取り組み

バックナンバー

関連するナレッジ・コラム