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2017年11月号トピックス3デジタル・イノベーション地域創生

都市でイノベーションを加速させるには

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2017.11.1

地域創生事業本部魚路 学

デジタル・イノベーション

POINT

  • 超スマート社会の実現には都市空間でのイノベーション加速が不可欠。
  • 早期実装のポイントは行政による時間軸の明示。
  • 官民は協調を通じて山積する課題を次々と飛び越えるべきだ。
狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続いて5番目に到来すると政府が提唱しているSociety5.0(超スマート社会)は、都市空間で住民や企業がイノベーションを巻き起こすことで具現化される。情報通信技術(ICT)を最大限に活用して人々に豊かさをもたらす超スマート社会の実験には、一定以上の人口や経済規模が不可欠なためだ。その際、革新的技術を用いたサービスを社会にどう実装するか、実装に要する時間をどう短縮するかが重要な課題となる。

福岡市は、2014年に国家戦略特区の指定を受けたことを弾みとして、新規事業のアイデアを民間から募って実証していく戦略を立て、民間をワンストップ(窓口一元化)で支援する体制の構築を進めた。2016年からは「実証実験フルサポート事業」と銘打って、アイデア募集時期や実験の実施期間、行政の役割を明確に示し、民間が投資計画を集中して立てやすい環境を整備した。並行して民間側は、資金や人材を投じてまちづくりに挑むとともに、イノベーションの障壁となりかねない規制の緩和を提案した。その結果、市は有望なスタートアップ企業に対する独自の減税措置を導入し、多くの起業家を呼び込んだ。

横浜市でも、行政が健康・医療やモノのインターネット(IoT)を成長分野と定めて技術やビジネスの提案を募り、市内産業の育成に貢献すると判断したアイデアについては即座に、実証実験の対象として公表した。

福岡と横浜の両市に共通するのは、行政側が、実装に至る時間軸を事前に明示し、民間側はビジネスモデルやその障壁除去を提案するという協調関係を築いたことだ。こうした仕掛けが、社会実装の成功とその時間短縮につながった。

都市を実証のフィールドとして、イノベーションを加速させる取り組みは今後、ますます増えていくだろう。社会実装のほかにも、安全管理のルール策定や住民との合意形成など、課題は山積している(図)。官民がこうしたハードルの数々を、二人三脚で足早に飛び越えていくよう望みたい。
[図]イノベーション加速に向けた官民の協調関係

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