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2017年11月号トピックス5経営コンサルティング

従業員同士で困りごとシェアを

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2017.11.1

政策・経済研究センター吉村 哲哉

経営コンサルティング

POINT

  • 従業員の悩みは多様化しているが、相談できるコミュニティーがない。
  • 会社は従業員個人をケアするようになっているが、限界がある。
  • 解決には従業員同士が匿名で利用できる「困りごとシェアリング」が有効。
従業員がプライベートで抱える悩みは尽きない。当社が9月に実施した調査の結果※1によると、一般従業員の2割近くが、認知症や介護の必要などに見舞われ「親の面倒を見る方法」に関する情報を得たいと思ったことがある。だが皮肉なことに、深刻なテーマほど相談相手を見つけにくい。例えば、「実家の処分の仕方」に悩んだことがある人のうち、約8割は「情報が得られなくて困った」経験をしている。

企業は近年、従業員個人やその家庭の事情を考慮した働き方を浸透させるべく、介護支援や健康経営などの取り組みを進めている。しかし今後、従業員が抱える悩みはますます多様化し、全員にあてはまるような対応では追いつかなくなるだろう。企業がプライベートな領域に過度に介入することは難しく、従業員も希望しない。

そこで提案したいのが、一定数の従業員同士で「困りごと」に関する経験や教訓を共有して、互いに相談可能にすることだ。具体的には、インターネットを活用して匿名で利用できる「困りごとシェアリング」の仕組みである。

前述の調査で企業の人事担当管理職に尋ねたところ、こうした仕組みへの要望の強さが裏付けられた(図)。担当者の年代が若いほど、要望は強い。「ぜひ導入したい」との回答率は20代が8割弱と圧倒的だったが、30代では6割強、40代で4割弱、50代で3割となり、60代では2割を下回った。あくまで推測だが、従業員同士がプライベートな領域も含め親密に交流していたかつての職場コミュニティーの記憶が強い年配の人は、このような仕組みの必要性を感じにくいと考えられる。一方で、現在の職場しか知らない若い担当者は、導入を切望しているようだ。

また、一般従業員のうち「利用したい」人は5割弱、情報の提供を依頼された場合に応じるとした人は6割近くいた。これらの結果から、困りごとシェアは、仕組みとして成立する可能性が高いと考えられる。

当社はこの仕組みに関する検討を始めたところである。今後、関心のある企業と連携しながら、社会での実装に向けて検討を進めていきたい。

※1:三菱総合研究所「生活者市場予測システム(mif)」による調査。
対象:従業員300人以上の企業
サンプル数:人事担当管理職(係長級以上)500、一般従業員(男女別/20~50代の年代別)800
調査時期:2017年9月15、16日

[図]「困りごとシェアリング」の導入・利用傾向

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