現在、人工知能(AI)にビッグデータ、フィンテックにIoE(インターネット・オブ・エブリシング)と、デジタルイノベーションばやりである。ソフトを中心としたデジタル技術が世界を席巻しているように見える。
図1に模式的に時代の進歩の流れを示した。横軸は時間軸、縦軸は技術を含む産業価値の度合いを表す。縦軸は線形ではなく対数表記であることに注意してほしい。ハードウエアとしてのコンピューターの性能は、その黎明期から急速に進歩してきた。1965年にインテルの創業者であるゴードン・ムーア氏が唱えた「半導体の集積度は18カ月で倍増する」という法則はいまだに健在である。一方、電子産業全体で見ると、その価値の多くはデータを含めたソフトウエアの部分が占めるようになってきた。ハードウエアは、単に情報をやり取りするための端末でよいと考えられ、相対的に価値が低下したのである。すなわち、主役の入れ替わり、ゲームチェンジが起こった。これが、いわゆるゲームチェンジ1.0である。かつて高品質を武器に権勢を誇ったわが国の電子産業の凋落も、このトレンドの中で考えると分かりやすい。
デジタルイノベーションの本場であるシリコンバレーは、データやソフトの価値にいち早く気付いた。その結果、ビジネスで重要なことは「データの蓄積をいかに図るかだ」という哲学にのっとったGoogleなどのベンチャー企業を次々と輩出した。昔はシリコン、今はソフト・ITといわれ、彼らはゲームチェンジの牽引役であった。
しかしながら、今、シリコンバレーは新たな壁にぶつかっている。新しいビジネスアイデアを実現しようとしても、これを可能にするハードウエアがないという問題が生じている。いたるところにセンサーを配置してネットワーク化し、地球規模で社会問題の解決に活用しよういうトリリオン・センサー構想(トリリオンは1兆を示す)が提唱されているが、これを実現できる超低消費電力のセンサーやネットワークは存在しない。ハードウエアが進歩の律速(ボトルネック)になっているのだ。
言うまでもなくリアル社会はデジタルだけでは動かない。デジタルによる革新をリアルな世界で支えるのはモノやそれを構成するマテリアルである。モノとデジタル技術が、交互かつ補完的に進化していく、この動きをゲームチェンジ2.0と呼びたい。
図1に模式的に時代の進歩の流れを示した。横軸は時間軸、縦軸は技術を含む産業価値の度合いを表す。縦軸は線形ではなく対数表記であることに注意してほしい。ハードウエアとしてのコンピューターの性能は、その黎明期から急速に進歩してきた。1965年にインテルの創業者であるゴードン・ムーア氏が唱えた「半導体の集積度は18カ月で倍増する」という法則はいまだに健在である。一方、電子産業全体で見ると、その価値の多くはデータを含めたソフトウエアの部分が占めるようになってきた。ハードウエアは、単に情報をやり取りするための端末でよいと考えられ、相対的に価値が低下したのである。すなわち、主役の入れ替わり、ゲームチェンジが起こった。これが、いわゆるゲームチェンジ1.0である。かつて高品質を武器に権勢を誇ったわが国の電子産業の凋落も、このトレンドの中で考えると分かりやすい。
デジタルイノベーションの本場であるシリコンバレーは、データやソフトの価値にいち早く気付いた。その結果、ビジネスで重要なことは「データの蓄積をいかに図るかだ」という哲学にのっとったGoogleなどのベンチャー企業を次々と輩出した。昔はシリコン、今はソフト・ITといわれ、彼らはゲームチェンジの牽引役であった。
しかしながら、今、シリコンバレーは新たな壁にぶつかっている。新しいビジネスアイデアを実現しようとしても、これを可能にするハードウエアがないという問題が生じている。いたるところにセンサーを配置してネットワーク化し、地球規模で社会問題の解決に活用しよういうトリリオン・センサー構想(トリリオンは1兆を示す)が提唱されているが、これを実現できる超低消費電力のセンサーやネットワークは存在しない。ハードウエアが進歩の律速(ボトルネック)になっているのだ。
言うまでもなくリアル社会はデジタルだけでは動かない。デジタルによる革新をリアルな世界で支えるのはモノやそれを構成するマテリアルである。モノとデジタル技術が、交互かつ補完的に進化していく、この動きをゲームチェンジ2.0と呼びたい。