一方、欧米で一般的な「ジョブ型」は、「仕事に人をはり付ける」、すなわち、仕事の内容に賃金を払う考え方であり、職務範囲・内容が決まっている働き方である。
メンバーシップ型は長時間労働を引き起こしやすいという問題がクローズアップされたのに伴い、ジョブ型へのシフトがここ数年ブームの様相を呈している。
グローバル展開を行っている一部上場企業を中心に、ジョブ型の雇用システムあるいは、これに類する人事制度や人材マネジメントの仕組みを導入するケースが出てきている。どの企業も必ずしもこれで完璧と思っているわけではなく、運用過程で社員の反応などを見ながら改良することを前提としているように見受けられる。
過去にもジョブ型への移行は何度か試みられた※1が、外部労働市場※2が成熟しておらず、日本では浸透しなかったという経緯がある。「ジョブ型なるもの」を導入するには、新卒一括採用システムや年功重視の処遇など日本の労働環境は特殊過ぎるのである。メンバーシップ型とジョブ型の二択ではなく、両者の要素を併せ持つハイブリッドな仕組みが今、求められているのではないだろうか。
当社では「脱メンバーシップ型」の新たな雇用システムのあり方を探るべく、ジョブ型雇用システムを志向する企業数社の人事部門の実務家と人的資源管理を専門とする有識者をメンバーとした研究会を立ち上げ、2021年3月から9月まで検討を重ねて、その成果を取りまとめた。
本コラムではそのエッセンスをご紹介したい。なお、詳細については下記フォームからレポートを入手できるので、ご参照いただければ幸いである。