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2018年4月号数字は語る経済・社会・技術

68%─30歳までに結婚したい女性

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2018.4.1

プラチナ社会センター佐野 紳也

経済・社会・技術
未婚化、晩婚化が指摘されて久しいが、頭打ちの傾向が見られている。国勢調査によれば、2015年における30歳の未婚率は、男性55.0%、女性は41.9%であるが、2010年も男性55.0%、女性41.9%と実は同じで未婚化は停滞している。人口動態統計による平均初婚年齢も、2017年は男性31.1歳、女性29.4歳で、2016年と同じであり、初婚年齢の高齢化も止まっている。

20代の若者に早婚化の兆し

さらに最近では、早婚化の兆しも見られる。三菱総合研究所の調査※1によれば、2017年における20代未婚者の「30歳までに結婚したい」とする割合は、男性50%、女性68%である。2011年以降、低下傾向にあったが、男性は2016年から、女性は2017年から、上昇に転じている(図)。 実際、20代未婚者において交際している異性がいる割合も、上昇傾向にある。2017年に男性24%、女性40%となっている。つまり、意識面でも実態面でも早婚化の兆しが見られている。

早婚化の背景要因

早婚化の兆しが現れた背景として、いくつかの要因が考えられる。

第一に所得の回復や正規雇用の拡大である。一般的に男性は所得が高くなるほど、婚姻率が高くなる。また男女とも非正規雇用に比べ正規雇用の方が婚姻率が高い。したがって、景気回復による所得増や正規雇用拡大が、心理的不安を緩和し結婚意欲を高めたと考えられる。

第二は、出会いの場の拡大である。従来の結婚相談サービスだけでなく、SNS、街コン、相席居酒屋など、出会いの機会を提供するサービスの多様化が進む。

第三は、保育環境の改善である。政府の近年の施策により、保育の受け皿が拡大し、女性がキャリアを断絶させずに子育てできる環境が整備されつつある。それにより早期に結婚、出産をする人も増えてきたと思われる。保育環境の改善は、主として「子ども・子育て支援新制度」によるものであり、影響は当面継続する可能性が強い。

※1:三菱総合研究所「生活者市場予測システム(mif) 」2011~2017年(各年6月)。

[図]30歳までに結婚したい割合