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2018年4月号トピックス1環境・エネルギー

「2019年問題」がエネルギーサービスを変える

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2018.4.1

環境・エネルギー事業本部三浦 大助

環境・エネルギー

POINT

  • 来年10月末には、太陽光の余剰電力買い取り対象とならない世帯が出現。
  • 蓄電池を用いた自家消費や、VPPなど新たなエネルギーサービスに注目。
  • 消費者に対するコストやメリットの適切な説明がビジネス成功の鍵。
太陽光発電パネルを屋根に載せている住宅をよく目にするようになった。背景には、2009年に導入された「余剰電力買取制度」がある。この制度は、余剰電力を電気代よりも高い水準で一定期間買い取るよう電力会社に義務付けたもので、現在では固定価格買取制度」に一本化されている※1。太陽光発電をしている世帯としては、電力を自宅で消費するよりも、電力会社に販売した方が、家計にプラスになる。

しかし、「2019年問題」が迫っている。制度の適用期間が10年であるため、2019年10月末には、余剰電力を従前の価格で買い取ってもらえない世帯が出始めるのだ。対象世帯数は2019年度だけで約50万件に達し、2020年度以降も毎年度20万~30万件ずつ増加すると見られている。

余剰電力をどうするか。選択肢としては、自宅で消費する「自家消費」を増やすか、「相対契約」を結んで小売り電気事業者などに販売する二つが考えられる。いずれにせよ、そこにはビジネスチャンスと新たなサービス創出の余地がある。

例えば自家消費では、昼間の消費を増やすか、使い切れない電力を蓄電池に蓄えて夕刻以降に使うことで、電力会社に支払う電気代を節約する手がある。電気自動車のバッテリーに充電するほか、高効率な電気給湯器である「エコキュート」で昼間にお湯を沸かす世帯も増えるだろう。こうしたニーズは、技術革新や低価格化を通じて、エネルギーを蓄える機器の利用拡大を加速させる。

また、相対契約によって、小売り電気事業者は余剰電力を買い集め、自社の電源として活用できる。余剰電力を集約した上で、蓄電池や需要削減などと組み合わせて電力の需給を調整するVPP事業※2も将来、普及すると期待される。

2019年問題を契機として、エネルギーサービスは大きく変容するかもしれない。ただし、サービスにさまざまな工夫の余地がある分、消費者は選択に迷うことになる。こうしたビジネスへの参入を検討中の事業者は、自社サービスのコストやメリットを、消費者に正確かつ分かりやすく説明する必要があるだろう。

※1:余剰電力買取制度は実質的に個人の住宅を対象として導入されたが、再生エネルギー事業者全般を対象とする固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)の2012年度施行に合わせて、両制度が一本化された。

※2:Virtual Power Plant事業。多様な分散型リソースを束ね、一つの発電所のように制御・運用することで、電気事業者や消費者にさまざまなサービスを提供する。現在、国が実証を進めている。

[図]住宅用太陽光発電における余剰電力の使途

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