コラム

カーボンニュートラル時代の原子力エネルギー・サステナビリティ・食農

イントロダクション 〜廃炉の今そして未来についてわかりやすく解説します〜

福島第一原子力発電所事故後の原子力

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2017.3.1

原子力安全事業本部松本昌昭

カーボンニュートラル時代の原子力
福島第一原子力発電所の事故から6年が経過しようとしています。事故による原子炉からの放射性物質の放出と、それに伴う住民の避難、広域かつ長期にわたる放射能汚染は、原子力発電所事故の社会への影響の大きさを示すことになりました。事故により溶け落ちた核燃料の状態など、原子炉の中がどのようになっているのかが、まだ明らかになっていない状況の中で、少しでも早く周辺地域の復興を安心して進めることができるように、日々東京電力および関係者による安全かつ円滑な廃炉に向けた活動が続けられています。また、福島第一原子力発電所の周辺の浜通り地域では、帰還に向けた除染活動や復興活動も継続されています。

福島第一原子力発電所は、今現在も、廃炉に向けた長い長い道のりを歩んでいます。2011年12月21日に、廃炉に向けた道しるべとなる「東京電力(株)福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(以降「ロードマップ」という)の初版が、政府により発行されました。その後の最新状況を踏まえ、ロードマップは改訂されていますが、最新のロードマップ(2015年6月)によれば、初号機の燃料デブリ(燃料と炉内の構造物が溶けまざったもの)の取り出し開始を経て、全号機の燃料デブリ取り出し終了、その後の廃止措置終了までには30年~40年を要する、という計画になっています。そして、これを達成するために、研究・技術開発要素が必要なものについては、国が主体的に関わる方針となっています。

当社は、2014年2月から廃炉・汚染水対策事業事務局業務に従事しています。これは、上述した国が主導する福島第一原子力発電所の廃炉に向けた研究開発・技術開発に関する補助金事業の公募・採択・進捗管理等を主な業務とするものです。この業務は、原子力安全事業本部 廃炉推進グループを中心として担当しており、1970年の創業以来40年以上にわたり培ってきた原子力に関する専門的知識とシンクタンクとしての問題解決能力を最大限に発揮して、廃炉完了までのあらゆる支援を継続していく所存です。

福島第一原子力発電所の廃炉に関しては、数多くの情報が公開されているものの、一般の方々に理解していただくためには専門性が高かったり、内容が複雑であったりすることで、容易に理解しづらいものとなっている印象があります。

そこで、本連載にあたっては、「福島第一原子力発電所廃炉のこれまでと、これから」と題して、福島第一原子力発電所の廃炉の内容をわかりやすく伝えていきます。

次回以降、原子力安全事業本部廃炉推進グループのメンバーが各コラムの執筆者となり、次のような個別のテーマを設定した上で、その内容について解説します。
  • 事故当初何が起きたのか?
  • 事故後から今まで行ってきたこと
  • 今後の課題と対策
  • 福島第一原子力発電所の40年後の姿
  • 福島第一原子力発電所の廃炉に関する国際協力
今後の連載コラムにご期待ください。