本稿では、1F事故の概要を示した上で、震災後から進められている1F廃止措置の取り組みについて示します。事故の問題点、廃止措置の難しさなど、関連する疑問点に対するヒントとなれば幸いです。
なお、本稿に含まれる見解は、あくまでも執筆者個人の考えとして述べるものです。
汚染水対策 | 汚染水発生量を150 m3/日程度に抑制 | 2020年内 |
浄化設備等により浄化処理した水の貯水を全て溶接型タンクで実施 | 2018年度 | |
滞留水処理 | ① 1、2号機間および3、4号機間の連通部の切り離し | 2018年内 |
② 建屋内滞留水中の放射性物質の量を2014年度末の1/10程度まで減少 | 2018年度 | |
③ 建屋内滞留水処理完了 | 2020年内 | |
燃料取り出し | ① 1号機燃料取り出しの開始 | 2023年度目処 |
② 2号機燃料取り出しの開始 | 2023年度目処 | |
③ 3号機燃料取り出しの開始 | 2018年度中頃 | |
燃料デブリ 取り出し |
① 初号機の燃料デブリ取り出し方法の確定 | 2019年度 |
② 初号機の燃料デブリ取り出しの開始 | 2021年内 | |
廃棄物対策 | 処理・処分の方策とその安全性に関する技術的な見通し | 2021年度頃 |
|
出所:宇宙航空研究開発機構(JAXA)「宇宙に挑むJAXAの仕事術」216頁(2014年3月、日本能率協会マネジメントセンター)
※1 PCV:Primary Containment. Vessel
※2 原子炉停止後、炉心の核分裂の連鎖反応は停止しますが、燃料からは熱が発生し続けます。これは崩壊熱と呼ばれ、停止直後は運転中の出力の7~8%になります。そのため、炉心の冷却手段が失われると、炉心は溶融してしまいます。
※3 TBqテラベクレル:ベクレルは放射能の強さを表す単位で、値が大きいほどたくさんの放射線が出ていることを意味します。テラベクレルは1兆(1012)ベクレルです。
※4 ALPS:Advanced Liquid Processing System
※5 RPV:Reactor Pressure Vessel
※6 TMI:Three Mile Island。スリー・マイル・アイランド発電所。
※7 IRID:International Research Institute for Nuclear Decommissioning
※8 JAEA:Japan Atomic Energy Agency
※9 NDF:The Nuclear Damage Compensation and Decommissioning Facilitation Corporation
※10 使用済燃料プール内の燃料取り出しは、4号機から実施され、2014年に完了している。
(a)Bal Raj Sehgal編 “Nuclear Safety in Light Water Reactors: Severe Accident Phenomenology,” (Academic Press, 2012年1月)
(b)電気新聞「原子力ポケットブック2015年版」(日本電気協会新聞部、2015年12月)
(c)原子力損害賠償・廃炉等支援機構「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉のための技術戦略プラン2017」(2017年8月)
(d)廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(2017年9月)