2018年10月に、電力会社管内全域を対象とした再生可能エネルギー発電の出力抑制が、全国で初めて九州で実施された※1。
再エネ発電事業者や、同事業に関わる金融機関、投資家などにとって、出力抑制は収益に大きな影響を及ぼすリスク要因となる。
再エネ発電事業者や、同事業に関わる金融機関、投資家などにとって、出力抑制は収益に大きな影響を及ぼすリスク要因となる。
図 九州における太陽光発電・風力発電の出力抑制の発生状況
太陽光発電や風力発電は、天候条件に応じて出力が変動するという特徴を有する。出力抑制は電力の安定的運用を維持するために必要な対策の一つである。固定価格買取制度(FIT制度)では、再エネ発電事業者は送配電事業者から出力抑制の要請を受けた時には協力する必要がある旨が規定されている。
太陽光発電や風力発電の場合、接続先の地域、設備容量、接続申し込みの時期に応じて、無補償による出力抑制の期間には上限が定められている。
具体的には、年間30日上限、360時間上限(太陽光発電)または720時間上限(風力発電)、無制限といったルールがあり、それに応じて出力抑制のリスクは異なる。
出力抑制の見通しは、資源エネルギー庁の審議会である「系統ワーキンググループ」※2において公表される。
同ワーキンググループでは、無制限の出力抑制ルールを有する地域について、電力各社の想定する接続可能量の検証や、接続可能量の拡大施策に関する検討を行っている。
例えば九州の場合、これまでに系統側蓄電池の利用、地域間連系線の利用拡大といった出力抑制回避策の検討が行われ、それに基づき出力抑制の見直しが図られてきた。
ただし、同ワーキンググループにおける出力抑制の見通しは、基本的には現状の需要、設備、系統運用を前提とした試算であり、再エネ事業期間を通した将来の抑制率の見通しを示すものではない。
2018年7月3日に閣議決定されたエネルギー基本計画※3において、再エネの主力電源化や長期安定電源化が国家的課題として位置づけられている。再エネや原発再稼働などの拡大に伴い、今後、再エネの出力抑制は他の地域にも広がっていくと考えられる。
一方で、再エネの一層の拡大や長期的な維持のためには再エネ発電事業の予見性を確保することが不可欠である。
具体的には、出力抑制に影響を与える電力需要の動向、各種電源や地域間連系線の活用に関するシナリオを描くことで、いつ、どの程度の出力抑制が生じるのか定量的に把握し、事業収支の健全性を確認することが、より重要となってくる。
また、東北北部エリアでは、その風況条件から風力発電の事業計画が殺到し、送電容量が不足しがちである。この不足を解消するために系統増強工事が計画されているが長期間を要する。そこで、系統増強工事の完了前であっても、送電容量制約による出力制御の実施を前提として、暫定的な系統接続を行う取り組みが進められている。
このような暫定接続では、接続先の系統に応じて送電容量制約が異なるため、その発生地点も含めて出力抑制リスクを定量的に把握することが求められる。
当社では、再エネ発電事業に関する投融資判断支援を目的として、需給制約による再エネの出力抑制を評価するサービスを2016年より提供している。関連する制度や市場の動向など最新の知見を反映し、出力抑制に関するシナリオの見直しを継続的に行っている。現在は、送電容量制約による再エネの出力抑制を評価するモデル開発を進めているところである。
今後も、再エネ発電の普及進展に貢献するべく、最新の制度動向を踏まえ、サービス提供を展開していく。
太陽光発電や風力発電の場合、接続先の地域、設備容量、接続申し込みの時期に応じて、無補償による出力抑制の期間には上限が定められている。
具体的には、年間30日上限、360時間上限(太陽光発電)または720時間上限(風力発電)、無制限といったルールがあり、それに応じて出力抑制のリスクは異なる。
出力抑制の見通しは、資源エネルギー庁の審議会である「系統ワーキンググループ」※2において公表される。
同ワーキンググループでは、無制限の出力抑制ルールを有する地域について、電力各社の想定する接続可能量の検証や、接続可能量の拡大施策に関する検討を行っている。
例えば九州の場合、これまでに系統側蓄電池の利用、地域間連系線の利用拡大といった出力抑制回避策の検討が行われ、それに基づき出力抑制の見直しが図られてきた。
ただし、同ワーキンググループにおける出力抑制の見通しは、基本的には現状の需要、設備、系統運用を前提とした試算であり、再エネ事業期間を通した将来の抑制率の見通しを示すものではない。
2018年7月3日に閣議決定されたエネルギー基本計画※3において、再エネの主力電源化や長期安定電源化が国家的課題として位置づけられている。再エネや原発再稼働などの拡大に伴い、今後、再エネの出力抑制は他の地域にも広がっていくと考えられる。
一方で、再エネの一層の拡大や長期的な維持のためには再エネ発電事業の予見性を確保することが不可欠である。
具体的には、出力抑制に影響を与える電力需要の動向、各種電源や地域間連系線の活用に関するシナリオを描くことで、いつ、どの程度の出力抑制が生じるのか定量的に把握し、事業収支の健全性を確認することが、より重要となってくる。
また、東北北部エリアでは、その風況条件から風力発電の事業計画が殺到し、送電容量が不足しがちである。この不足を解消するために系統増強工事が計画されているが長期間を要する。そこで、系統増強工事の完了前であっても、送電容量制約による出力制御の実施を前提として、暫定的な系統接続を行う取り組みが進められている。
このような暫定接続では、接続先の系統に応じて送電容量制約が異なるため、その発生地点も含めて出力抑制リスクを定量的に把握することが求められる。
当社では、再エネ発電事業に関する投融資判断支援を目的として、需給制約による再エネの出力抑制を評価するサービスを2016年より提供している。関連する制度や市場の動向など最新の知見を反映し、出力抑制に関するシナリオの見直しを継続的に行っている。現在は、送電容量制約による再エネの出力抑制を評価するモデル開発を進めているところである。
今後も、再エネ発電の普及進展に貢献するべく、最新の制度動向を踏まえ、サービス提供を展開していく。
※1 九州電力株式会社ウェブサイト「エリア需給実績(速報)」(閲覧日 2018.11.16)
http://www.kyuden.co.jp/wheeling_disclosure.html
※2 経済産業省ウェブサイト「系統ワーキンググループ」(閲覧日 2018.11.16)
http://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/keito_wg/index.html
※3 経済産業省ニュースリリース「新しいエネルギー基本計画が閣議決定されました」(閲覧日 2018.11.16)
http://www.meti.go.jp/press/2018/07/20180703001/20180703001.html