2020年10月26日に菅総理が所信表明演説の中で2050年にカーボンニュートラル(以下、CN)を目指すことを宣言した。世界ではこれまで120を超える国・地域が2050年までのCNにコミットしている。今後、各国がCNに向けた取り組みを進めるが、社会的・地理的条件などその国情は大きく異なる。CNの達成に向けてはそれぞれの国情を踏まえた上で適切な戦略を構築する必要があり、本稿では主にエネルギー需給の観点から日本の国情・国際的な立ち位置を分析※1する。
※1:EUは地域として2050CN宣言しているが、本分析は国単位で実施する。
※2:IEA(2021), "Detailed CO2 estimates", IEA CO2 Emissions from Fuel Combustion Statistics(database),
https://doi.org/10.1787/
※3:世界各国のうち、IEAの統計でデータが取得可能な144カ国を対象とした分析。
※4:IEA(2021), "Extended world energy balances", IEA World Energy Statistics and Balances(database),
https://doi.org/10.1787/
※5:右図(産業・運輸部門に占める鉄鋼業・長距離輸送等の比率)はIEA統計のデータ制約よりOECD加盟国のみを対象。