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内外経済見通し

ウィズコロナ下での世界・日本経済の展望|2021年11月

2021~2022年度の内外経済見通し

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2021.11.16

株式会社三菱総合研究所

株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森崎孝)は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を踏まえ、経済対策提言や世界・日本経済の見通しを随時発表してきました。今回は11月半ばまでの世界経済・政治の状況、および日本の2021年7-9月期GDP速報の公表を踏まえ、世界・日本経済見通しの最新版を公表します。

世界経済

世界経済は、国や地域によるばらつきを伴いつつも、総じてコロナ危機による落ち込みから回復を続けている。欧米先進国では、ワクチン接種完了者比率が人口の6割を超えつつあり、防疫と経済活動の両立が進んでいる。一方で、世界経済の回復ペースは21年4-6月期に比べて7-9月期は減速した。部品・原材料不足の深刻化、資源価格の上昇、中国の電力不足による生産減速などが背景にある。

22年にかけての世界経済は、経済活動の正常化に伴う雇用・所得や消費の回復本格化を背景に、コロナ危機下での政策効果に支えられた回復から、自律的な回復へのシフトが本格化するだろう。そのうえで、コロナ危機からの世界経済の回復パスを左右する注目点は、次の3点である。

第一に、供給制約の解消時期である。供給制約を引き起こしている複数の要因のうち、①海上物流の逼迫と、②新興国での感染拡大によるサプライチェーンを通じた供給制約は、22年入り後に段階的に緩和されていくだろう。一方で、③半導体不足と、④人手不足は22年末にかけても継続を見込む。半導体の供給能力不足も、人材のミスマッチも、短期的には解消が難しいためだ。

第二に、消費の回復力である。22年にかけて経済活動の正常化とともに雇用・所得の回復本格化が見込まれるなか、コロナ危機下で積み上がった貯蓄が消費に回ることが予想される。ただし、人材の需給ミスマッチの長期化による雇用・所得環境の回復の遅れ、供給制約の長期化による物価上昇などを背景に、実質所得の回復ペースが鈍いものにとどまれば、消費の下振れ要因となろう。

第三に、米国の利上げ時期である。22年半ばに終了するとみられる資産買入規模の縮小の後、FRBが1回目の利上げに踏み切るのは22年後半となるだろう。経済活動の正常化が進むなかで、労働参加率の段階的な改善が予想されるためだ。期待インフレ率が一段と上昇した場合や住宅価格など資産バブルへの懸念が強まった場合には、利上げ時期が早まるだろう。

これらを踏まえ、世界経済の実質GDP成長率は、21年が前年比+5.1%(前回8月見通しから▲0.3%ポイント下方修正)、22年が同+3.7%(変更なし)と予測する。

先行きのリスクは、第一に、市場の想定よりも早い米国利上げによる金融市場の混乱である。米国の株価収益率は1929年の大恐慌前の水準を既に上回っており、金利急上昇が米国の割高な株価調整の引き金となる可能性がある。また、米国の金利上昇とそれに伴うドル高は、新興国市場からの資金流出を加速させ、世界経済の下振れ要因となる。第二に、債務問題の深刻化による中国経済の失速である。信用不安が高まる不動産セクターの債務処理は、当局監視のもと慎重に進められる見通しだ。ただし、秩序だった債務処理に失敗すれば、不動産セクター以外の健全な企業にも、資金繰り悪化や倒産が連鎖的に広がる可能性がある。中国経済の失速、さらには世界経済の下振れ要因となりかねない点に注意が必要だ。

日本経済

日本経済は、10月の緊急事態宣言解除後も新規感染者数が低位で推移しており、飲食や宿泊など外出関連業種を含め、国内経済活動の再開が進んでいる。ワクチンの定期的な接種、無料のPCR検査の拡大、医療供給体制の強化などにより、外出関連の経済活動を本格的に再開させつつ、医療逼迫を回避できる可能性が高まっていくだろう。22年にかけては、経済活動の正常化に伴う雇用・所得環境の改善に加え、コロナ危機下で積み上がった約40兆円の過剰貯蓄の一部が消費に回ることもあり、潜在成長率を上回るペースでの回復を見込む。もっとも、半導体などの供給制約は、22年にかけても引き続き企業活動の抑制要因となると予想する。

実質GDP成長率は、21年度は同+2%台半ば、22年度も同+2%台半ばと予測する。コロナ危機前の水準(19年10-12月期)を回復する時期は、22年前半となろう。

米国経済

米国経済は、7-9月はデルタ株の感染拡大や深刻な供給制約によって回復ペースが鈍化した。21年の実質GDP成長率は、実績値の下振れに加え、供給制約や物価上昇圧力の高まりが景気回復の重しとなることから、前年比+5%台半ばと前回8月見通しから下方修正する。22年は、財政・金融政策による経済下支え効果の段階的縮小が予想されるものの、防疫措置の緩和により経済の自律的な回復力が高まるほか、供給制約も段階的に緩和に向かうとみており、同+4%台前半の高い経済成長を達成する見込み。コロナ危機下で積み上がった貯蓄(約2.6兆ドル)が消費に回ることも期待される。なお、FRBが1回目の利上げに踏み切るのは22年後半となるだろう。供給制約の緩和で物価の安定が見込まれるほか、経済活動が正常化するなかで労働参加率の改善も予想されるためだ。

欧州経済

欧州経済は、ワクチンが普及するなか、デジタルCOVID証明書を活用しながら経済活動を再開する動きが広がっており、7-9月期は景気の回復ペースが加速した。22年にかけては、半導体不足や資源価格上昇が景気回復の重しとなるが、全体としては経済活動の再開や雇用・所得環境の持ち直しを背景に、欧州経済は回復傾向を維持する見込み。欧州5カ国の実質GDP成長率は、7-9月期の成長上振れを反映し、前年比+5%程度と前回8月見通しから上方修正する。経済活動の正常化の進展により、22年も同+4%台前半と高めの成長を予想する。コロナ危機前の水準を回復するのは22年前半となる見込み。

中国経済

中国経済は、不動産投資の減速や、電力不足などの供給制約から成長が減速している。中国政府は、過剰債務削減に向けて不動産企業の資金調達基準を厳格化しており、恒大集団をはじめ不動産開発会社の信用不安が高まっている。不動産業界の債務削減は中長期的には金融リスクの抑制につながるが、短期的には不動産投資を慎重化させ、成長の抑制要因となる。21年の実質GDP成長率は、前年の反動もあり前年比+8%台前半の高い伸びを予想するが、前回8月見通しからは下方修正する。22年は金融リスクの抑制や脱炭素に向けた規制強化から、同+5%台前半への減速を予想する。

新興国経済

新興国では、デルタ株流行による感染拡大から、7-9月はASEANなどで厳格な外出規制が実施され、成長は大幅に鈍化した。新興国経済の成長率見通しは前回8月見通しから総じて下方修正する。今後、新興国経済は、ワクチン普及などによる先進国経済の段階的な正常化を背景に輸出主導での成長回復を見込むが、22年にかけて米国金融政策の出口への動きが本格化するなかで、新興国からの資金流出圧力が過度に強まれば、インフレや通貨防衛のための利上げを強いられ、経済の回復ペースが鈍化する可能性がある。

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