マンスリーレビュー

2017年10月号 次世代インフラ

建設現場の生産性革命

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2017.10.1

次世代インフラ事業本部竹末 直樹

次世代インフラ

POINT

  • 建設現場の生産性向上を目的とした「i-Construction」が活況。
  • 最終ゴールはデジタル技術による「働き方改革」の実現。
  • 新しい現場の姿を描き、その実現に向けて技術開発を進めることが重要。  
高齢化が進み、今後10年間に建設現場で働いている技能労働者340万人のうちの110万人が減少する。建設現場の生産性向上と新たな働き手の確保は日本の喫緊の課題である。国は人工知能(AI)、IoT、ロボットなどの最先端技術により、建設現場の生産性を2025年までに2割高める「i-Construction」を加速させている。

狙いは工事日数の削減と省人化にある。これまでより少ない日数と人数で同じ量の工事を実施する。建設は、設計、施工、維持管理に加え、解体や素材への還元など守備範囲が広く、特にメンテナンスを含めると仕事は限りなくある。省人化が進んでも大量失業につながる心配はない。まさに建設産業の生産性革命である。

最終ゴールは、結局のところ「働き方改革」といえる。デジタル化による業務改革を進める建機メーカーのコマツは、測量の際にドローンを飛ばして地形の3次元点群データを収集し、完成形との差異を重機が認識して半自動的に施工する革新的なしくみを構築している。これまでは、 「丁張り ちょうはり」や 「遣り方やりかた」などと呼ばれる目印を人が測量機器を用いて設置した後、測量図に従って重機で掘削・整形していた。今では、データを読み込んだIT重機を経験の浅いオペレーターが運転して、熟練オペレーターの手を借りることなく施工できる。建設現場から極力人手を減らし、高齢者や女性など新たな働き手の活躍を促す、i-Constructionが目指す姿の一つといえる。

今後、多くの企業に必要なのは、働き方が変わった新しい建設現場の姿を描くことだ。技術開発、システム開発などを進める場合も、「高齢者や女性も快適に働ける」、「ICT・AI・ロボットなどを活用して無人で施工する」、「建設現場にもテレワークやワークシェアリングを取り入れる」、「その結果として平均総労働時間が減少する」といった関係者が具体的にイメージしやすい現場の姿を共有するべきである。日本の技術開発ではニーズよりもシーズが先行し、目先の細かな課題解決に走りがちな点にも留意するべきだ。生産性2割向上という目標が働き方改革につながる具体的なイメージに置き換えて、官民協働で新技術の開発・導入に取り組むことが必要である。
[図]「i-Construction」による働き方改革

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