世界的な資金余剰が続くなか、投資資金の動きにも大きな潮流変化がみられる。投資基準に、財務リターンだけでなく、投資先の事業が生む社会的インパクトも織り込み評価・判断する金融機関・投資家が増えている。その代表的な例がESG※1投資、すなわち環境・社会・ガバナンスの観点を投資基準に織り込むという考え方だ。財務リターンが大きくても社会に悪影響を及ぼす事業には投資を控え、環境保護・改善など社会にポジティブな影響を及ぼすと期待される事業には積極的に投資する。2016年、世界のESG投資残高は23兆ドルに迫り、すべての運用資産残高の26%に達した。
ESG投資のなかでも最も強い意志をもった取り組みが「インパクト投資」である。気候変動や保健衛生、雇用などの社会課題に、投資を通じて解決・改善をもたらすことを目指す。単なる慈善的な寄付は金額・持続性に限界があるが、インパクト投資では、財務リターンと社会的インパクトを総合的に評価・両立させるケースが生まれている。適切なリスク分散とインパクト評価の精度を高める(図)ことで、投資の持続性を維持し、投資家を巻き込むインセンティブが得られる。現状、その残高は2,480億ドルとESG全体に占める比率は小さいが、今後急速に伸びる可能性が高い。
最先端の取り組み例に、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(基本財産400億ドル)がある。社会課題解決型スタートアップのイノベーションを促進するために創設された投資プログラムは総額15億ドル、すでに47の案件に計10億ドルをコミットしている。課題設定、投資先発掘、投資条件を特定するプログラムチームとベンチャーキャピタルのチームが連携し、インパクトの達成状況を評価している。
日本でもESG投資への注目が高まっているが、残高は4,740億ドル、世界の2%程度と歩みは遅い。インパクト投資はまだ緒についた段階で、担い手も投資規模も限られている。担い手と投資家の拡大、税制面など課題は多い。だが、潤沢な投資資金を活用し世界の潮流にキャッチアップしようとの機運は、政府・民間双方で徐々に芽生えつつある。社会課題解決の新しいチャネルとして当社も微力を尽くしたいと考える。
ESG投資のなかでも最も強い意志をもった取り組みが「インパクト投資」である。気候変動や保健衛生、雇用などの社会課題に、投資を通じて解決・改善をもたらすことを目指す。単なる慈善的な寄付は金額・持続性に限界があるが、インパクト投資では、財務リターンと社会的インパクトを総合的に評価・両立させるケースが生まれている。適切なリスク分散とインパクト評価の精度を高める(図)ことで、投資の持続性を維持し、投資家を巻き込むインセンティブが得られる。現状、その残高は2,480億ドルとESG全体に占める比率は小さいが、今後急速に伸びる可能性が高い。
最先端の取り組み例に、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(基本財産400億ドル)がある。社会課題解決型スタートアップのイノベーションを促進するために創設された投資プログラムは総額15億ドル、すでに47の案件に計10億ドルをコミットしている。課題設定、投資先発掘、投資条件を特定するプログラムチームとベンチャーキャピタルのチームが連携し、インパクトの達成状況を評価している。
日本でもESG投資への注目が高まっているが、残高は4,740億ドル、世界の2%程度と歩みは遅い。インパクト投資はまだ緒についた段階で、担い手も投資規模も限られている。担い手と投資家の拡大、税制面など課題は多い。だが、潤沢な投資資金を活用し世界の潮流にキャッチアップしようとの機運は、政府・民間双方で徐々に芽生えつつある。社会課題解決の新しいチャネルとして当社も微力を尽くしたいと考える。
※1:Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字を合わせた用語。