マンスリーレビュー

2017年10月号トピックス4経営コンサルティング

価値観への関心を促す

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2017.10.1

コンサルティング部門 経営イノベーション本部丸貴 徹庸

経営コンサルティング

POINT

  • 海外子会社の企業統治が苦戦。
  • グループ全体への価値観の浸透が欠かせない。
  • 従業員の自主性に基づく意識改革に結びつける。
海外進出している日本企業の損失計上や現地撤退が目立つ。海外子会社の内部統制システムが機能せず、リスク管理が行き届かないなど、企業統治に苦戦しているようだ。親会社が海外の子会社を管理するには、国内以上の工夫が必要となる。

例えば、日本たばこ産業(JT)は買収した海外のたばこ事業について、経営陣を多国籍としながらも放任はせず、責任の範囲を明確にして、多様性の維持と事業拡大を両立させた。現地経営陣に対し、的確な目標を示してグリップを効かせることが求められる。

では海外で企業統治を機能させる要件は何か。適切な制度・人材配置・規則に基づく権限委譲が挙げられるが、その前提条件が整わないとうまく機能しない。より重要なことは、基本的な価値観を企業グループ全体に浸透させることである。

歴史・言語・文化的な背景が異なる海外子会社の隅々にまで、共感できる形で基本的な価値観を浸透させるのは容易ではない。特に、明確な意思表示が苦手な日本人にとっては、ハードルが高いとされてきた。

しかし、人種や使用言語が多様なグローバル企業は、この難題を段階的な取り組みによってクリアしている。まずは、基本的な価値観をアイコン※1やインフォグラフィック※2によって表現し、誰もが視覚的に理解可能にすることから始まる。第2段階は、教育や研修だけではなく、映像やSNSも駆使して、従業員が自主的に価値観への関心を強める仕掛けだ。そして第3段階で、従業員の理解度を定期的にチェックし、その結果を経営陣の評価に組み入れている。この3つのステップを通じて、全組織への価値観の浸透を徹底させている(図)。

米国のゼネラル・エレクトリック(GE)は、さらに価値観への関心を促すため、社外向けの情報開示を可能な限り拡充することで、外部からのフィードバックを従業員の意識改革に結びつけている。日本企業についても、グローバル企業が講じている工夫の数々を採り入れて、海外進出をうまく加速させることを期待したい。

※1:特定の人物や出来事などを端的に表すイラスト。

※2:情報、データ、知識などを効率的に表現したグラフや図。

[図]海外子会社に価値観を浸透させるステップ

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