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2020年7月号トピックス5経営コンサルティング

サウジで日本エンタメに商機あり

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2020.7.1

海外事業本部土田 葉

経営コンサルティング

POINT

  • サウジアラビアのエンタメ市場は日本企業にとって有望な分野。
  • 産業多角化の政策によって開放されたばかりで競争相手が少ない。
  • 世界的にも人気のあるコンテンツIPを浸透させて市場開拓を。
サウジアラビアは歳入の約70%※1を石油輸出に依存し、原油価格変動に伴う国家財政の不安定さや地球温暖化問題による産油国への逆風にさらされている。このため2016年4月に経済改革計画「ビジョン2030」を公表し、産業多角化を打ち出した※2。また、2018年6月に女性による自動車運転を容認したのに続き、2019年9月に観光ビザを解禁※3して旅行客の呼び込みに乗り出すなど、急速な社会改革も進めている。

海外からの誘致を目指す業種も、従来のプラントなど重厚長大型産業からデジタル産業やヘルスケアなどに広げている。日本企業にとって有望な市場の一つは、文化的・宗教的理由により制限されていたエンターテインメント(エンタメ)分野である。「ビジョン2030」により市場が開放されたばかりで競争相手が少ない。2019年11月に政府主催で日本のアニメ関係者を招いたイベントも大盛況※4だった。日本のアニメを愛好するムハンマド皇太子自身が設立した政府系ファンド「ミスク財団」は、アニメやゲームなどのコンテンツ制作に投資している。原油価格の動向次第では市場規模の伸びが不安定な可能性はあるものの、商機は十分にあると言える。

こうした状況を背景に日本としては、世界的にも根強い人気を誇るアニメキャラクターなどのコンテンツIP※5浸透を図ることが考えられる。同国ではオイルマネーを背景に、高品質かつ機能性に満ちた「本物」を海外から導入したいとの志向が強い。こうした本物志向をかき立てるため、日本のコンテンツメーカーは単体ではなく連合して品ぞろえを充実した上で、アプリなどを通じてコンテンツを絶え間なく提供できるプラットフォームを構築すべきである。

その結果形成される日本アニメ愛好者のコミュニティーに向けて、グッズやゲームといった物品を販売するとともに、顧客体験を強化するイベントを続ければ、日本のコンテンツIPが着実に根づいていく。そうすれば日本コンテンツメーカー連合は、アジア諸国などで起きているような海賊版問題の影響をサウジアラビアでは軽減可能であるとともに、収益を確保し続けることができるであろう。

※1:2018年実績。
“Budget Statement Fiscal Year 2020”より。

※2:2030年までに石油依存から脱却し、投資による収益を生み出す経済構造へ改革することを目指す計画である。

※3:ただし新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年2月27日から観光ビザなどでの入国を一時的に停止する措置をとっている。

※4:「SAUDI ANIME EXPO 2019」が2019年11月14~16日に首都リヤドで開かれ4万人近くが来場した。

※5:IPはIntellectual Propertyの略で、キャラクターや楽曲などの知的財産を指す。例えば任天堂の「マリオ」など。

[表]サウジアラビア・エンタメ市場の商機のポイント

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