マンスリーレビュー

2020年7月号トピックス4環境・エネルギー経済・社会・研究開発

EUのサーキュラー・エコノミー加速と日系企業

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2020.7.1

政策・経済研究センター橋本 択摩

環境・エネルギー

POINT

  • EUは産業政策としてサーキュラー・エコノミーを加速させている。
  • 生産者責任の拡大がアジアにも広がる可能性に日系企業は注意を。
  • 欧州発「グリーン・リカバリー」の潮流にも目を向ける必要がある。
欧州委員会は2020年3月、低炭素社会と資源効率的な経済を目指す産業政策として、サーキュラー・エコノミー※1を加速させる行動計画を発表した。2019年12月に打ち出した気候変動対策「欧州グリーン・ディール※2」実現に向けた措置の一つだ。行動計画はサーキュラー・エコノミーをデジタル戦略と融合させる方針を盛り込み、廃棄物の収集・処理コストの負担を生産者に求める「拡大生産者責任(EPR)」強化も明記した。対象分野は電子機器・ICTや電池・自動車、容器・包装、プラスチックなど多岐にわたる。

欧州連合(EU)は規制や政策のグローバル展開に長じている。このため、行動計画の影響は欧州だけでなくアジアに進出している日系企業にも及ぶ可能性がある。例えばベトナムでは2020年4月から、EPR強化を狙いとする環境保護法の改正法案が国会で審議中だ。背景には、ベトナムとEUとの間で、自由貿易協定(FTA)が今夏に発効予定である事情もあるとみられる。

日本の産業界はサーキュラー・エコノミー行動計画の対象分野について、自社製品をリサイクルが容易な仕様へと見直すほか、長寿命化や修理容易な製品設計の開発も積極的に進めるべきである(表)。リサイクル技術をめぐる企業間の協力支援なども有効であろう。並行して、進出先でのEPR強化によるコスト負担が増大しないよう、日本政府とも連携してEUやアジアなどで適時適切なロビイングを行う必要がある。

新型コロナウイルス感染症拡大を受け、ビジネス環境が世界的に大きく変貌している。EUはコロナ後の経済復興の中心に気候変動対策を据え、「グリーン・リカバリー」として加速させている。欧州委員会は2020年5月、資本市場から7,500億ユーロを調達して「次世代EU」復興基金を創設し、サーキュラー・エコノミー推進のほか、再生可能エネルギーやクリーン水素への投資などを進める方針を打ち出した。これに先立ち欧州議会主導で4月に発足した企業連合の「グリーン・リカバリー・アライアンス」には大企業や金融機関、業界団体のトップなど150人あまりが名を連ねた。コロナ後の時代は欧州発の「グリーン・リカバリー」の潮流にも目を向ける必要があろう。

※1:MRIマンスリーレビュー2019年8月号「サーキュラー・エコノミーの本質」参照

※2:2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするなどの目標を盛り込んでいる。

[表]サーキュラー・エコノミー行動計画の概要と日系企業の対応策

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