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2019年8月号トピックス6経済・社会・研究開発環境・エネルギー

サーキュラー・エコノミーの本質

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2019.8.1

政策・経済研究センター清水 紹寛

経済・社会・研究開発

POINT

  • 大量生産・消費から循環主体のサーキュラー・エコノミーへの移行が進む。
  • 単なる環境政策ではなく欧州の経済・産業戦略である点に要注意。
  • 日本の行政と企業は連携強化を通じて欧州発の大波に備えるべき。
大量に生産・消費する従来の線形経済を、循環型であるサーキュラー・エコノミー(Circular Economy:CE)に移行させる動きが欧州主導で急速に進みつつある。欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会はバイオ資源の活用や製品の長寿命化、売り切り制から従量制課金への転換、シェアリング浸透など幅広い施策を進めている。欧州委が2019年3月に公表した実施状況報告書によると、2012~2016年にCE移行のための各施策により、400万人強に相当する雇用が創出された。アクセンチュアはCE移行の経済効果が2050年までに25兆ドル(約2700兆円)に達すると試算している※1

環境政策としては、日本も国際社会でイニシアチブを取るべく、2004年に3R(リデュース・リユース・リサイクル)を通じた循環型社会の構築を提唱した。しかし、CEは単なる環境政策ではなく、企業をも巻き込んだ欧州発の経済・産業戦略である点には注意すべきだ。新たなルールづくりで欧州委が主導権を握れば、EU市場への非関税障壁が日本など域外の企業に立ちはだかる。実際に欧州委は、CEに関するマネジメントの規格づくりを国際標準化機構(ISO)で進めるなど、着々と手を打っている(図)。

ルールづくりの重要性を示すケースは枚挙にいとまがない。例えば、日本がその技術を世界に誇るハイブリッド車は、米カリフォルニア州などで環境適合車の規定から外されてしまった。自国の自動車産業に有利なようにルールが変えられたのだ。また、日本発で海外展開を目指した、建築物の環境性能評価システム「CASBEE」は、同じ温帯モンスーン気候の東アジア諸国においてすら米国の「LEED」に勝てなかった。

日本の行政当局は、欧州委のように企業を巻き込んで政策決定やルールづくりを推進するのが得意ではない。先行して打ち出された3Rが、経済戦略の色彩が強いCEに比べて存在感を国際社会で示せていないのも、こうした点が響いている。

CEはものづくりをはじめとする価値提供の根本に関わり、インパクトは温暖化対策を超えるともいわれる。この大波に備えるため、日本の行政と企業は連携強化の在り方を、あらためて探るべきではないだろうか。

※1:アクセンチュアは2015年発刊の著作「Waste to Wealth: The Circular Economy Advantage」で、現在の大量生産・大量消費型のビジネス形態が続いた場合の経済損失額は2030年時点で4.5兆ドル、2050年時点では25兆ドルに達すると試算した。

[図] EUのサーキュラー・エコノミー政策

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