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2020年5月号トピックス1経済・社会・研究開発

新型コロナの先を見据えた経済対策

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2020.5.1

政策・経済研究センター森重 彰浩

経済・社会・研究開発

POINT

  • 新型コロナ感染症で日本の消費は急減して深い景気後退局面へ。
  • しかし、潜在的需要は失われていないことを当社緊急調査で確認。
  • 潜在需要を活かして中小零細企業を支援する「前借り」制度を。
新型コロナウイルス感染症に伴う世界経済への打撃は、2008~2009年の世界金融危機以来の規模となることが確実である。日本経済も2019年秋の消費増税にコロナ危機が加わって深い後退局面に入った。当社が5,000人を対象として2020年3月末に緊急実施した生活者調査※1によると、個人消費は急速に冷え込んでいる。感染拡大中は外食や旅行、習い事など、外出を伴う消費を大きく抑制する姿勢が鮮明となっている。

一方、同調査では感染症終息後に消費を平時へ戻す意向が根強いことも確認された。世界金融危機では資金調達難から需要そのものが蒸発したが、今回は消費を抑制しているだけで潜在的な需要は失われていない。もっとも、経済活動の抑制が長期化して失業や倒産が増加すれば、潜在的需要すら損なわれる可能性が高まる。これを回避するには、資金繰りや雇用への政策的支援が重要である。

潜在需要を活かし現在の企業の資金繰りを確保する手段として、当社は4月6日公表の「新型コロナウイルス感染症の世界・日本経済への影響と経済対策提言※2」において、企業がコロナ終息後の売り上げを「前借り」できる施策を提案した。具体的には、終息後に使える宿泊券・飲食券などのチケットを、政府が設定した民間のウェブサイトで、通常価格の例えば8割程度で販売し、政府が残る2割を補填する(図)。

消費者の前払い額と政府による割引補填額はともにサービス提供業者に入金され、企業の手元資金となる。消費者がチケットを購入してから実際に利用するまでに企業が倒産した場合、前払いした代金の返金は政府が保証する。

こうすれば、企業は借金を増やさずに流動性を確保して存続可能性を高めることができる。すでに発表されている資金繰り支援の補完となろう。この施策の最大の特長は、ウェブサイトに宿泊券や飲食券などのチケットを集めて販売することができるため、サイトを持たない地域の小さな飲食店のような中小零細業者が全国に販路を拡大できる点にある。先が見えにくい現状であればこそ、複数の資金支援チャネルとともに、人々の応援の気持ちを見える化させて、企業に届ける施策も必要なのではないだろうか。
[図]未来の売り上げ前借り施策のイメージ

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