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2020年5月号トピックス4デジタル・イノベーション

AI活用で乗り越える、5G時代のネットワーク障害

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2020.5.1

デジタル・イノベーション本部友部 勝文

デジタル・イノベーション

POINT

  • 5Gなどの普及に伴い、より多様なネットワークサービスが提供される。
  • ネットワーク運用をAIで高度化し、障害の早期復旧と防止が不可欠になる。
  • 日本でも、障害の事前予測や運用の効率化に向けた技術開発を急ぐべき。
通信キャリアが相次いで5Gサービスを開始した。今後、ネットワークにつながるIoT機器は増え続け、2021年には世界で447.9億台に達する見込みである※1。現在はまだ「通信」が主であるが、今後「自動車・輸送機器」「遠隔医療」「産業用途」など、これまで以上にミッションクリティカルな用途における急成長が予測されている(図)。ネットワーク障害への備えは、不可欠になろう。

ネットワークサービスの多様化は、それを支える技術の高度化をけん引する。例えば、さまざまなネットワーク要件に対応する手法の一つに、SDN※2などのソフトウエアでネットワークを構築する仮想化技術がある。これらの技術によって、ベンダーは柔軟なネットワークの設計や運用が可能となり、ユーザーは自分が利用したいネットワークのサービスを短期間かつ低コストで利用できるようになる。

しかしベンダー側には大きな課題がある。ネットワークの仮想化が進展すると、設計・運用に係る技術も高度化し、それらに対応できる技術者を確保するための人的コストが増大する。また、ひとたびネットワーク障害が発生すると、複雑化したシステムでは、原因の特定や復旧作業に時間を要してしまう。

このため海外では、ネットワークの早期復旧や障害防止のために、AIを活用する動きが加速している。欧州では、Horizon2020※3において、5Gネットワークへフォーカスし、AIを利用した故障の検知・予測向上による復旧迅速化、AIとトラフィックの情報を利用したリソース最適化などの研究開発が行われている※4。各国がIoTを使ったフロンティア市場の争奪戦にしのぎを削っている。

日本でも、2023年度のICT企業が対象とするIoT市場が約9.5兆円と予測されており※5、今後さらなる拡大が見込まれる。AIによるネットワーク制御を目的とした総務省の研究開発プロジェクトも進行中だ※6。過去の障害データをAIに入力し、障害の事前予測や運用の効率化を可能とする技術の開発は、今や待ったなしの状況にある。

※1:総務省「情報通信白書令和元年版」。

※2:Software-Defined Networking。ソフトウエアで、ネットワーク制御をする技術や概念のこと。

※3:欧州で実施されている研究やイノベーションの促進を目的としたフレームワークプログラム。

※4:5G PPP Project SELFNET。

※5:情報通信ネットワーク産業協会「IoT市場動向調査報告」。

※6:総務省「革新的AIネットワーク統合基盤技術の研究開発」。

[図]AIネットワーク概念図

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