本レポートは5章構成となっています。
第1章では、コミュニケーションにおける非言語情報の重要性を概観するとともに、非言語情報をデジタル化する意義を整理しました。
第2章では、非言語情報とV-Tecの関係性を整理しています。V-Tecの代表的な活用環境であるメタバースの構成要素(3Dバーチャル空間、オブジェクト、エージェント)は、接触行動以外の非言語情報を良好に再現できることが分かります(図表1参照)。アバターの外観が操作者自身の心理にまで影響を及ぼす「プロテウス効果」や、デジタルヒューマンに情動の認識・表現機能を加えた「アフェクティブ・デジタルヒューマン」についても言及しています。
第3章では、有効性が確認されているV-tec関連研究領域として、学習・教育・技能伝承領域、医療・健康・ヘルスケア領域、およびその他のコミュニケーション応用領域での研究の現状を取りまとめています。
第4章では、コミュニケーション応用領域の発展として、非言語情報のデジタル化による社会課題の緩和・解消の可能性について考察しています。情報関連サービスの品質や生産性の向上、コミュニケーション阻害の解消、生活アシスト/孤独感抑制によるQOL向上などの効果が期待されます。一例として図表2に、さまざまな生活シーンでのパーソナルアシスタントの利用イメージを示します。
最後に第5章では、デジタル化した非言語情報が社会に浸透するために解決すべき技術的、非技術的課題を整理しました。
図表1 非言語情報とメタバースの構成要素の関係
出所:三菱総合研究所
図表2 生活シーンでのパーソナルアシスタントの利用イメージ
出所:三菱総合研究所