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2021年1月号トピックス5経営コンサルティング

中小企業こそリモートワークを

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2021.1.1

キャリア・イノベーション本部西澤 和也

経営コンサルティング

POINT

  • 中小企業では実施しやすい職種でもリモートワークが進んでいない。
  • 経営・管理層の認識不足や従業員の不公平感などが障壁とみられる。
  • メリットは大きいのでコロナ禍を機に「やってみる」ことから始めよう。
新型コロナウイルス感染症拡大で、リモートワークが企業社会に浸透しつつある。しかし、中小企業での導入は、大企業に比べて立ち遅れているとされている。

この点を定量的に検証するため分析を行った。米国労働省運営の職業データベース「O*NET」に基づき※1、実施のしやすさを示す「リモートワーク指数」を職種ごとに算出した。さらに、当社の 生活者市場予測システム(mif) 調査によるアンケートを基に、2020年6月時点での大企業(従業員300人以上)と中小企業(従業員300人未満)におけるリモートワーク実施率を割り出した(図)。特定職種の一つひとつの線のうち、丸印が大企業、矢印の先が中小企業での実施率である。

その結果、リモートワークしやすいと思われる職種(事務・営業・管理職など)で、大企業と中小企業で実施率に大きな差が認められた。例えば経理事務業務への従事者を見ると、リモートワークを実施していると回答した人の割合は勤務先が大企業で33%、中小企業で14%となり19ポイントの差がついた。通信・情報システム営業では大企業64%、中小企業43%で21ポイント差となった。管理職に至っては大企業44%、中小企業22%で約2倍の開きがある。

企業規模間で実施率に差が出ている理由として、経営・管理層の認識不足、実施に必要なICTツール導入コストの高さや従業員の不公平感などが挙げられよう。だが、さまざまなかたちでリモートワークを実施している中小企業も出てきている。業務内容を自ら管理できるようになるまで待つため採用1年未満の社員を実施対象から除外するケースや、営業・バックオフィス職に対象を限定する例もある。

実のところ、リモートワークは中小企業にこそメリットが大きく、人手不足が深刻な現状では優秀な人財を集める上で追い風になりうる※2。従業員数が少ない分、大規模なシステムを用意する必要がなく、コストを低く抑えられる場合もある。中小企業もコロナ禍を機に、試行的に「やってみる」かたちで、リモートワーク導入に動いてはどうだろうか。

※1:O*NETは、職業分類別に詳細な情報をもつデータベースである。今回の分析では以下2つの文献を参照し、リモートワーク指数の算出および日本の職業分類とのひも付けを実施した。              
Dingel, J. I., & Neiman, B.(2020) "How many jobs can be done at home?", No.w26948, National Bureau of Economic Research.        
Hamaguchi, N., & Kondo, K.(2018) "Regional employment and artificial intelligence in Japan", Research Institute of Economy, Trade and Industry (RIETI).

※2:転職先の条件として、「テレワークの実施」や「テレワークの制度・環境」が整っていることが重要と回答した人は48.4%に及ぶ(パーソルキャリア「リモートワーク・テレワーク企業への転職に関する意識調査」)。

[図] 企業規模で見た職種別リモートワーク実施状況

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