世界経済は、欧米を中心に全面的なロックダウンが実施された2020年4~6月期をボトムに回復の動きがみられたが、中国と欧米など国・地域によるばらつきが大きい。加えて、企業利益も二極化している。世界主要企業※3の約3分の1(売上高ベース)が、コロナ危機下(同年4~9月)において売上高純利益率を前年から5%以上低下させた一方で、約6分の1の企業は同比率を5%以上上昇させている。後者には、デジタルプラットフォーマーのほか、ライフサイエンス、新エネルギーなどの業種が含まれる。
所得階層別にみた雇用回復ペースの差も大きく、米国では高所得層に比べ、低所得層の雇用回復の遅れが鮮明だ。低所得層ほど雇用が不安定であり、テレワークが困難な仕事への就業割合が高いことも背景にある。近年、米国で大きな社会問題となっている経済格差をさらに助長しかねない。
アフリカなど新興国・発展途上国では、外出制限による教育機会の喪失が、近年改善してきた貧困問題にも影を落としている。国連によると、平均余命・就学年数・生活水準などを指標化した人間開発指数は、1990年の統計開始以来、初めて減少に転じる見込みだ※4。
コロナ危機で強まった4つの潮流
潮流①:伯仲する米中のパワーバランス
潮流②:揺らぐ民主主義、深まる分断
一方、米国大統領選は120年ぶりの高投票率が政権交代につながり、民主主義が機能したともいえるが、選挙戦を通じて社会の分断の深さも明らかになった。コアな支持層への訴求から両党の政策スタンスが両極化しつつあり、政権交代による政策の振れが拡大している。