2020年10月、菅首相の初の所信表明演説では、新型コロナウイルス感染症対策と経済の両立、行政・民間のデジタル化推進と並んで、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロとする新しい目標が掲げられた。これまでの公約は2050年80%削減、実質ゼロ化は「今世紀後半のできるだけ早い時期」にとどまっていた。欧州連合(EU)や中国が実質ゼロ化の目標強化を打ち出す中、日本も「脱炭素社会」へと大きく踏み出したかたちである。
現状、2050年80%削減も容易な目標ではなく、実質ゼロに向かうハードルは高い。が、その実現への大きな道筋が「エネルギーの電化比率の大幅引き上げ」と「再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化」の二つであることに変わりはないだろう。2050年実質ゼロへの時間と道のりは長いが、要は、明確な方針と具体的かつ現実的な計画を打ち出し、そのスピードと確度を高めることに尽きる。
エネルギーの電化比率は、最終エネルギー消費ベースで30%程度(2018年)にとどまっており、この値を大幅に引き上げることが必要となる。再エネの主力電源化に関しては、太陽光発電による設備容量はすでに、2030年目標の9割に到達しており順調に拡大が進んでいる中、新たな再エネの有力な選択肢として洋上風力に大きな期待がかかっている。
再エネの主力電源化については、供給のコストと安定性が課題とされてきたが、その解決の道筋が見え始めた。世界的には、再エネ発電コストが年々低減しており化石燃料由来を中心とする既存の発電コストと同等(Grid Parity)となる国や地域が拡大している。安定電源化の面でも、蓄電池をはじめとする蓄エネルギー技術は日進月歩し、コストも着実に低下する。今後、大量の蓄電設備に加え、電気自動車(EV)の普及を計算に入れれば、蓄電池なしより蓄電池ありの方が、コストメリットのある状態(Storage Parity)が家庭では2020年代に実現することが見込まれている。
現状、2050年80%削減も容易な目標ではなく、実質ゼロに向かうハードルは高い。が、その実現への大きな道筋が「エネルギーの電化比率の大幅引き上げ」と「再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化」の二つであることに変わりはないだろう。2050年実質ゼロへの時間と道のりは長いが、要は、明確な方針と具体的かつ現実的な計画を打ち出し、そのスピードと確度を高めることに尽きる。
エネルギーの電化比率は、最終エネルギー消費ベースで30%程度(2018年)にとどまっており、この値を大幅に引き上げることが必要となる。再エネの主力電源化に関しては、太陽光発電による設備容量はすでに、2030年目標の9割に到達しており順調に拡大が進んでいる中、新たな再エネの有力な選択肢として洋上風力に大きな期待がかかっている。
再エネの主力電源化については、供給のコストと安定性が課題とされてきたが、その解決の道筋が見え始めた。世界的には、再エネ発電コストが年々低減しており化石燃料由来を中心とする既存の発電コストと同等(Grid Parity)となる国や地域が拡大している。安定電源化の面でも、蓄電池をはじめとする蓄エネルギー技術は日進月歩し、コストも着実に低下する。今後、大量の蓄電設備に加え、電気自動車(EV)の普及を計算に入れれば、蓄電池なしより蓄電池ありの方が、コストメリットのある状態(Storage Parity)が家庭では2020年代に実現することが見込まれている。