マンスリーレビュー

2020年11月号トピックス2デジタル・イノベーション地域創生

テレビメディアを核とした地域経済活性化への期待

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2020.11.1

デジタル・イノベーション本部土橋 由実

デジタル・イノベーション

POINT

  • コロナ禍は、地域テレビ局(地方局)の広告ビジネス変革を加速させる。
  • 地域経済再生の担い手と地域住民の接点提供が地方局の役割。
  • 地域の信頼に基づく「地域内データ流通」の共通配信基盤の構築が鍵。
新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞は、広告収入の減少というかたちでメディア各社の経営環境を圧迫している。折しも、2019年にネット広告費はついにテレビメディア広告費を上回った※1。今回のコロナ禍は、民放テレビ局をはじめとする大手メディアがネット配信などを急拡大し、ネット連携を前提とした広告モデルへの転換を図っている最中に生じた。大手メディアの大半を占める地域テレビ局(地方局)の今後の対応が注目されている。

コロナ禍で疲弊する地域経済にとっても地方局の奮起が待たれる。第一は、地域の魅力を発信してブランドの価値を向上させる地域経済再生の担い手としての期待である。第二の期待は、地域住民との接点としてこれまで以上に機能することにある。ウィズコロナの時代において、病院、スーパー、薬局など地域密着型の生活情報の重要性が増す中で、情報ステーションとしての存在意義が問われている。地方局の強みである地域に密着したきめ細かい情報収集力はネット配信全盛となっても有効であり、最適な広告モデルを地域企業に提案する上でも有利といえよう。

これらの期待に応えるには、地域視聴者のニーズを起点とした「地域内データ流通」の共通配信基盤を構築する必要がある(図)。視聴者の同意を得た上で行動履歴や視聴履歴のデータを収集し、個別のニーズに合ったコンテンツをテレビ、スマホ、PCなどを介して届けることができる。さらに、これらのデータをマーケティングデータとしても活用することが可能である。自前データがあることは広告費を獲得する際に有利であり、購買活動に直結する広告施策も打ち出しやすくなる。広告主である地域企業にとっても新たな活路を見いだす糸口となる可能性がある。

この共通配信基盤の構築は地方局が放送事業を通じて地域に密着して築き上げてきた「信頼」がなければなりたたない。地方局が自社収益のためだけでなく、地域一丸となった地域経済活性化の核となる取り組みに力点を置くことで、自社のビジネスモデル変革を実現することを期待したい。

※1:電通「2019年日本の広告費」。

[図] 地域内のデータ流通を円滑にする共通配信基盤を中心とした企業とメディアのエコシステムの例

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