カーボンニュートラル(CN)を表明する国が増加を続け、日本も2020年10月に2050年の実現を宣言した。これに伴い、企業は自社だけではなくサプライチェーン全体でのCO2排出管理が必要となり、負うべき社会的責任の範囲も拡大した。
しかし、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻したため、経済安全保障を考慮せざるを得ない状況となった。短期的には、CNよりも経済安全保障が重視されるともいえるが、中長期的には両立させることが必要である。
ウクライナ危機を踏まえ欧米では、経済安全保障を重視しつつCNへの取り組みも強化する動きが見られる。欧州連合(EU)は天然ガスのロシア依存脱却に向け、再生可能エネルギー(再エネ)導入目標を引き上げ太陽光パネルの域内生産加速を図っている。米国は新たに成立したインフレ抑制法に厳しい経済安全保障要素を盛り込み、電気自動車(EV)への税額控除を進めようとしている。
日本によるCNへの取り組み状況を国際比較した(表)。固定価格買取制度※1によって太陽光中心に再エネ導入が加速したものの、発電電力量に占める再エネ比率は欧州の半分程度である。洋上風力は先行する欧州を中国が追い上げる中、日本の本格導入は数年先の見込みだ。EV普及も欧州と中国が先行している。日本が強みとする素材産業ではCO2排出削減が難しいことからも、CN実現へのハードルは高い。
経済安全保障の観点でも、資源に乏しい日本の立ち位置は厳しい。CN実現には太陽光発電など成長産業のさらなる進展と、素材産業における排出削減の強化が必要である。
しかし、太陽光パネルの国内生産比率はこの10年間で約8割から約1割まで急落した。EVに用いられる蓄電池に必要な金属資源、素材産業に必要な原材料も、ほぼ輸入に依存している。
しかし、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻したため、経済安全保障を考慮せざるを得ない状況となった。短期的には、CNよりも経済安全保障が重視されるともいえるが、中長期的には両立させることが必要である。
ウクライナ危機を踏まえ欧米では、経済安全保障を重視しつつCNへの取り組みも強化する動きが見られる。欧州連合(EU)は天然ガスのロシア依存脱却に向け、再生可能エネルギー(再エネ)導入目標を引き上げ太陽光パネルの域内生産加速を図っている。米国は新たに成立したインフレ抑制法に厳しい経済安全保障要素を盛り込み、電気自動車(EV)への税額控除を進めようとしている。
日本によるCNへの取り組み状況を国際比較した(表)。固定価格買取制度※1によって太陽光中心に再エネ導入が加速したものの、発電電力量に占める再エネ比率は欧州の半分程度である。洋上風力は先行する欧州を中国が追い上げる中、日本の本格導入は数年先の見込みだ。EV普及も欧州と中国が先行している。日本が強みとする素材産業ではCO2排出削減が難しいことからも、CN実現へのハードルは高い。
経済安全保障の観点でも、資源に乏しい日本の立ち位置は厳しい。CN実現には太陽光発電など成長産業のさらなる進展と、素材産業における排出削減の強化が必要である。
しかし、太陽光パネルの国内生産比率はこの10年間で約8割から約1割まで急落した。EVに用いられる蓄電池に必要な金属資源、素材産業に必要な原材料も、ほぼ輸入に依存している。
[表] CN達成に向けた日本の立ち位置