ビッグデータや人工知能(AI)など、進展著しいデジタル技術を駆使したイノベーションがさまざまな領域で広がりを見せている。例えば、FinTech(金融)は、決済手段の多様化と手数料低下をもたらした。株式投資をしている方の中には、ロボットアドバイザーがリスク許容度に応じて最適なプランを見繕ってくれた経験をお持ちの向きもいるはずだ。また、EdTech(教育)は、学習手段の多様化と費用低下をもたらした。アプリを使って語学などを習得している方なら、習熟度に応じて問題やカリキュラムが最適化された経験があるのではないか。
いずれもデータを駆使するアプローチが得意な米国が牽引役である。米国における「HR(Human Resource) Tech」の歴史は長く、世界最大級のHRTechイベントである「HR Technology Conference & Exposition」は1998年から毎年開催されている。最近は人材マネジメントを最適化するHRTechに注目が集まり、候補者の発掘からマッチング、履歴書解析、心理・性格・スキル診断など、さまざまなサービスがリリースされている。
近年の米国におけるHRTechのトレンドは、人材がもつ可能性を引き出す関係性づくり=エンゲージメントである。社員の健康に関与する従前からの動きに加え、今後の動向を占う象徴的な事例として、GEやAdobeなどによる評価制度改革が挙げられる。具体的には、納得感が高まりにくい、年1回の評価を廃止し、年間を通じて継続的に上司と部下がコミュニケーションする機会(タッチポイント)を設定。頻繁にコミュニケーションを取り、期中から部下の成果の実現を支援することが上司の役割と再定義された。まさに、組織としてエンゲージメント強化を企図した取り組みである。
日本は今、国を挙げて「働き方改革」に取り組み始めたところだ。しかしながら、長時間労働の是正や柔軟な働き方の推進といった取り組みの実態は、従前からあるワークスタイル改革の延長線上にとどまっている。エンゲージメントを強みとしてきた日本の現場は疲弊しており、このままではHRTechを駆使する米国企業に逆転されてしまうかもしれない。
いずれもデータを駆使するアプローチが得意な米国が牽引役である。米国における「HR(Human Resource) Tech」の歴史は長く、世界最大級のHRTechイベントである「HR Technology Conference & Exposition」は1998年から毎年開催されている。最近は人材マネジメントを最適化するHRTechに注目が集まり、候補者の発掘からマッチング、履歴書解析、心理・性格・スキル診断など、さまざまなサービスがリリースされている。
近年の米国におけるHRTechのトレンドは、人材がもつ可能性を引き出す関係性づくり=エンゲージメントである。社員の健康に関与する従前からの動きに加え、今後の動向を占う象徴的な事例として、GEやAdobeなどによる評価制度改革が挙げられる。具体的には、納得感が高まりにくい、年1回の評価を廃止し、年間を通じて継続的に上司と部下がコミュニケーションする機会(タッチポイント)を設定。頻繁にコミュニケーションを取り、期中から部下の成果の実現を支援することが上司の役割と再定義された。まさに、組織としてエンゲージメント強化を企図した取り組みである。
日本は今、国を挙げて「働き方改革」に取り組み始めたところだ。しかしながら、長時間労働の是正や柔軟な働き方の推進といった取り組みの実態は、従前からあるワークスタイル改革の延長線上にとどまっている。エンゲージメントを強みとしてきた日本の現場は疲弊しており、このままではHRTechを駆使する米国企業に逆転されてしまうかもしれない。