マンスリーレビュー

2017年12月号トピックス5デジタル・イノベーション

AIによる旅行のゲームチェンジ

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2017.12.1

コンサルティング部門 金融イノベーション本部大井 修一

デジタル・イノベーション

POINT

  • 2020年代初めにはAIが細かい個人ニーズに合う旅行を企画可能に。
  • 満足度アップはやがて、旅行業界にゲームチェンジをもたらす。
  • 旅行業者はAI技術の動向を把握し続ければ新たな需要を獲得できる。
AI(人工知能)技術が活躍する舞台となるのは、顧客が不満をもつサービスや、非効率さが目立つ業種である。時間をかけて楽しみに計画したはずなのに、時に不満が残ることもある旅行は、その典型例だ。目的地や移動手段・宿の調整に苦労したため、名所めぐりやグルメ・体験を後回しにせざるを得ず、満足度が下がった経験をした向きは少なくないだろう。旅行に関しては現在、テクノロジーを活用してサービス品質の向上や対応の円滑化につなげるTravel Techの取り組みがある。それでも、一人ひとりの細かいニーズに合った旅行計画の作成は、依然として難しい課題である。

2020年代初めには、この課題を解決する旅行手配AIが登場するだろう。Appleの秘書機能アプリケーション「Siri」と似た感覚で、旅程について相談してスピーディーな手配が可能になるだけでなく、現地での案内も頼めるようになる(図)。旅行手配AIは依頼主が希望する条件と、交通機関や宿泊施設の情報、観光地を運営する業者からの提案を上手に組み合わせて、一人ひとりが満足のいく計画を導き出せる。

満足度がアップすればやがて、業界にゲームチェンジがもたらされる。旅行者はAIを中心に旅程を組み、観光産業もAIを業務に活用するようになる。こうしたビジネスモデルを軌道に乗せたプレーヤーこそが将来、旅行業界の主役になりうる。

観光地にも大きな変化が起きる可能性がある。地元の観光産業やファンがAIを通じて、その土地の魅力を国内外に直接PRすることが可能になれば、これまで注目されていなかった名所や体験の再評価が進むであろう。結果として観光客が増えた地域では、現在は無償でガイドを引き受けているボランティアに、報酬が払えるようになる。思いもよらない、新たなご当地名物が誕生するかもしれない。

旅行手配AIの企画力によって旅先での活動密度が高まれば、グローバルに新たな需要も創出される。旅行業者がこうしたニーズを商機拡大につなげるには、AI技術を的確なタイミングで自社へ取り込めるよう、技術保有者との提携を通じて、動向を捉え続けることが肝要である。
[図]旅行手配AIが果たす役割

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