マンスリーレビュー

2019年7月号トピックス1スマートシティ・モビリティ

うめきた2期×大阪・関西万博の相乗効果

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2019.7.1

西日本営業本部水嶋 高正

スマートシティ・モビリティ

POINT

  • 大阪「うめきた2期」開発が佳境。2025年大阪・関西万博との連携に期待。
  • 集客に関する相乗効果は絶大。イノベーション促進にも寄与。
  • うめきたと大阪・関西万博が連携して未来社会を創造。
西日本最大のターミナルであるJR大阪駅に隣接する「うめきた(大阪駅北地区)」の第2期開発プロジェクト※1が、2024年夏の開業(先行まちびらき)に向けて急ピッチで進んでいる。「みどりとイノベーションの融合拠点」を目標に設定し、MICE(国際会議や見本市など)会場や都市公園も併設する。2025年の大阪・関西万博開催をその翌年に控え、うめきた、万博双方の集客力を活かしたさまざまな連携が期待される。

万博の集客力に関しては想定入場者を約2800万人とする試算※2がある。これだけの人数が5月3日~11月3日の185日間に会場である夢洲を訪れる。一方、うめきたの集客は年間延べ5000万人以上と発表されている(第1期開発の実績による※3)。うめきたと夢洲は直線距離で約10kmに位置し、移動手段を確保すればさらなる集客が見込める。2023年春にはJR新駅がうめきたに開業し関西国際空港に直結する。うめきた経由でインバウンド客を万博に誘導するルートも着々と整備されつつある。

「みどりとイノベーションの融合拠点」を実現する上でも万博との相乗効果は大きい。大阪・関西に注目が集まる2024年から2025年は、起業や事業創造を目指す優秀な人材を呼び込む好機といえよう。ヘルスケア、行動データなどのヒューマンデータをうめきたにおいて収集し、事業創出に活用する計画も始動する。収集したデータをうめきたで新事業やサービスの開発に着手する人材に提供すれば、大阪・関西のイノベーション創出につながるとみられる。

大阪・関西万博にとっても開催前に「テスト運用」できる意義は大きい。例えば、表情分析※4による「おもてなし」支援サービスでも、「2024年までにうめきたで試行」「万博会場でサービス実施」「うめきたでの本格運用」──という連携ができる(表)。VR、ARによるバーチャル空間で80億人※5の来場を目指す大阪・関西万博にふさわしく、疑似体験イベントもうめきたにおいてすでに実施されている。大阪・関西万博のコンセプトである「未来社会の実験場」の一端を、市民活動の場であるうめきたが担えば話題性は一気に増す。双方の連携によって、未来社会のデザイン・実装が加速されることに期待したい。

※1:JR大阪駅北側のJR跡地(梅田貨物駅)の2期区域再開発プロジェクト。2018年7月に開発事業者が決定、着工は2020年秋となる。2013年に開業した第1期開発区域の知的創造拠点(ナレッジキャピタル)に引き続き、2期では「『みどり』と『イノベーション』の融合拠点」を目指す。

※2:立候補申請文書より

※3:うめきた第1期開発(2013年4月開業)であるグランフロント大阪は、開業5年目(2017年4月26日~2018年4月25日)の来場者数5483万人と発表している。

※4:表情から感情を分析するAIが開発されている。

※5:MRIマンスリーレビュー2019年3月号「80億人が未来を共創する『新しい万博』」

[表]うめきた2期×大阪・関西万博の連携イメージ