マンスリーレビュー

2019年3月号トピックス1経済・社会・技術

80億人が未来を共創する「新しい万博」

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2019.3.1

西日本営業本部 万博推進室高橋 朋幸

経済・社会・技術

POINT

  • 2025大阪・関西万博は、社会課題を解決する「未来社会の実験場」。
  • ICTを活用し、80億人を結びつけることで壮大な実験が可能。
  • 未来を共創するプラットフォームは、未来のビジネスのつくり方を提示。 
2025年国際博覧会(万博)が大阪・関西で開催されることが決定した。先だって2020年に開催されるドバイ万博のテーマ「心をつなぎ、未来をつくる」を引き継ぎつつ、大阪・関西では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、新しいアイデアを自由に出し合い共有する「未来社会の実験場」を実現する。全世界の80億人が、バーチャルアクセスなどを通じて参加する壮大な実験を目指している。

今日、万博の目的が「国威発揚」から「全世界の社会課題の解決」へとシフトしつつある中、万博を開催する意義は、世界中の人々と社会課題を解決し、次世代都市のあり方をレガシーとして引き継ぐことにある。80億人が抱える、都市インフラ、ライフサイエンス、食・水、モビリティなどに関する社会課題を、国家間の差、企業間、世代間の違いを超えて解決する必要がある。

地元自治体にはすでに企業や市民から参加への問い合わせが多数寄せられている。地元経済界の実証実験や若者主体の運営活動も活気を見せている。このように万博の意義を世に広める「アーリーアダプター※1」が着々と集結しつつある。今後はさらに追随して、万博が目指す「一人ひとりが主体となる社会変革」を体現する人材を発掘し、参加者全員の集合知を見いだし、行動へとつなげていく必要がある。

万博を誘致する際の立候補申請文書(提案書)には80億人を対象とした「オンラインプラットフォーム」の必要性が記されている。これは「課題提起と理解」「知恵・アイデア蓄積」「ワーキング・マッチング」「参加・インセンティブ」の機能により万博を支える「未来を共創するプラットフォーム」となるべきだ(図)。この取り組みには、IoT・AI、XR※2、ブロックチェーンなどの最新ICTが強力な武器となる。開催までの6年半の助走期間は実証提案と実験(プレ実施)に活用し、開催期間中は80億人が参加する場となり、2025年以降も、世界の社会課題解決の装置として機能する──。進化し続ける技術を常に吸収することでプラットフォームは高度化して、未来のビジネスのグローバルスタンダードとなる。レガシー創出に向け共通基盤をしっかり速やかに作り上げよう。

※1:最新のトレンドに敏感で、他の消費者に先駆けて行動する初期採用者層。

※2:X(Cross)R(Reality)の略でVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(代替現実)等の最先端技術の総称。

[図]2025年大阪・関西万博と「未来を共創するプラットフォーム」