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2024.3.6
社会インフラ事業本部
義澤宣明
伊藤優美
瀬川優美子
中山和美
白井浩介
三菱総合研究所は福島県の復興状況や放射線の健康影響に対する東京都民の意識や関心・理解などに着目したアンケート調査を、2017年、2019年、2020年、2021年、2022年に続き、2023年9月に実施した。
2023年の調査では福島と東京での意識の違いも分析検討して、今後望まれる対応を提言としてまとめた。
調査の概要
第6回意識調査(2023年調査)
調査期間:2023年9月6日~8日
調査地域(回答数):東京都(1,000サンプル)、福島県(500サンプル)
調査対象:20歳~69歳の男女
調査方法:インターネットアンケート
参考
第1回調査:
東京五輪を迎えるにあたり、福島県の復興状況や放射線の健康影響に対する認識をあらためて確かにすることが必要(その1~その3)
第2回調査:
東京五輪を迎えるにあたり、福島県の復興状況や放射線の健康影響に対する認識をさらに確かにすることが必要
第3回調査:
震災から10年、福島県の復興や放射線の健康影響に対する認識をより確かにするために重要なこと
第4回調査:
「復興五輪」、福島県の復興や放射線の健康影響への認識を確かにするために重要なこと
第5回調査:
震災・復興を語り継ぐことの大切さ 2025年大阪・関西万博での震災復興アピールへの期待
2017年、2019年、2020年、2021年、2022年に実施。調査対象、調査方法は第6回調査(東京都民)と同じ条件である。
調査結果に基づく提言
復興に関するプラス面の情報がこれまで以上に福島県外に伝わる必要がある。
原発事故を経験したことで、将来的に何らか不利益を被るのではないかと、福島県の半数近くの方が感じている。このような不安を解消する対応の継続が重要である。
放射線の健康影響についての科学的な理解が風評払拭に有効であり、積極的で継続的な情報発信の取り組みが重要である。
「福島県の方が、特別な目で見られる場合がある」ことへの懸念は、科学的な情報の理解のみでは解決できないことが示唆された。このような懸念は、科学的な情報の理解促進とは別の課題解決に向けた取り組みが求められている。
ネット上の情報が正確かどうかを確認するためには「複数の情報との比較」に加えて、「情報の発信源の確認」や「ネット以外の情報の確認」など、いくつかの確認方法を併用することが有効であることを広く一般に周知していくことが重要である。
詳細レポート
調査結果の詳細は
別添の「詳細レポート」に記載している
。
「原発事故のあと、福島県の方が、特別な目で見られる場合があると思う」という質問に対して、「そう思う」と「ややそう思う」の合計は福島で53.0%、東京では34.5%と福島が18.5ポイント大きかった。福島で5割以上、東京で3割以上が、「特別な目で見られる場合がある」と回答していることから、将来的に原発事故を経験したことで何らかの不利益を被ることへの福島の方の不安感は決して低くないといえる。
図 福島県民が特別視されることに関する意識
「現在の放射線被ばくで、次世代以降の人(将来生まれてくる自分の子や孫など)への健康影響が福島県の方々にどのくらい起こると思いますか」という質問に対して、「可能性が低い」とする回答(選択肢1、2の合計)は、福島で73.8%、東京で68.7%となった。福島において、「可能性が高い」とする回答(選択肢3、4の合計)が4分の1程度で、放射線の健康影響に不安を感じている方々への継続的なケアが重要である。
図 放射線による福島県民(次世代)への健康影響に関する意識
詳細レポートには、図1~図13までのアンケート調査結果が紹介されている。
「第6回意識調査(2023年)」詳細レポートを読む
[892.0KB]
著者紹介
義澤 宣明
社会インフラ事業本部
原子力から食品安全分野まで、広く科学・技術のリスクやリスクコミュニケーションに係る課題解決の支援を担当しています。定量的な調査分析および定性的な調査分析の双方を利用した分析の経験が豊富です。
もっと見る
伊藤 優美
社会インフラ事業本部
官公庁や民間企業のお客さまに対して、防災・危機管理や気候変動適応に関するコンサルティング・政策提言支援を行っています。リスクに対する適切な理解と対策検討の支援を通じて、お客さまの価値を一層高めることを目指しています。
もっと見る
瀬川 優美子
社会インフラ事業本部
2016年三菱総合研究所に入社。主に官公庁業務に付随するコミュニティとイベント運営支援、データ集計と地理情報加工に従事。業務を通じてより良い日本の未来、社会づくりに貢献することを目指している。
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