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震災から10年、福島県の復興や放射線の健康影響に対する認識をより確かにするために重要なこと

第3回調査結果の報告(2020年実施)

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2020.12.22

セーフティ&インダストリー本部義澤宣明

白井浩介

村上佳菜

三菱総合研究所は福島県の復興状況や放射線の健康影響に対する東京都民の意識や関心・理解などに着目したアンケート調査を、2017年と2019年に続く第3回調査として2020年7月に実施した。

3年間にわたる東京都民の意識の変化を分析した結果から、福島県の復興や放射線の健康影響に関する理解は進んでいるものの、食品の買い控えなどに関しては、放射線による健康影響についての科学的知見が十分には浸透していないことと関連性があることなどが示唆された。

調査の概要

第3回意識調査(2020年調査)
  • 調査期間:2020年7月22日~27日
  • 調査地域(回答数):東京都(1,000サンプル)
  • 調査対象:20歳~69歳の男女
  • 調査方法:インターネットアンケート
参考
2017年8月と2019年8月に実施。調査地域、調査対象、調査方法は第3回調査と同じ条件である。

調査結果から分かったこと

  • 福島県産食品について、自身が食べる場合に放射線が気になるのでためらうという割合は、食品に関連する他のトピックと同程度となり、特別に大きな不安を感じる状況とはいえなくなってきた。
  • 福島県産食品について、自分は気にしないが子どもなどについてはためらうという方は、福島県内の復旧・復興の現状についてポジティブな印象を持っている割合が比較的高いものの、「福島県の方が特別視される」「放射線を意識している」と考えている割合が高かった。
  • 自分自身では福島県産食品を敬遠していない方でも健康影響について懸念を持っている場合があることが分かった。そのため、食品の買い控えなどが解消に向かったとしても、放射線の健康影響についての確実な理解が進まない限り、差別や偏見の意識が根付いてしまう可能性がある。

調査結果に基づく提言

  • 福島県産食品に対する風評についてはおおむね落ち着きつつあるが、さらなる風評払拭のためには福島県の復興の現状や普段の生活の状況、そこで生活する県民の意識や思いを共有していくことが必要である。
  • 偏見や差別を生まないためにも、放射線による健康影響に対する理解については、科学的な情報の正確な理解に向けた継続的な対応が求められる。
  • 震災後10年の節目となる2021年に向けては、コロナ禍での日常生活の変化を利用し、オンラインによる福島県民との交流イベントや福島県産品の積極的な取り寄せ需要の喚起など、復興状況の理解を促進する取り組みも望まれる。

詳細レポート

調査結果の詳細は別添の「詳細レポート」に記載している
その中で「『がんの発症など後年に生じる健康障害』および『次世代以降の人への健康影響』が福島県の方々にどのくらい起こると思うか」を尋ねた結果を以下に示す。前回2019年の調査と比較して「後年の健康障害」については「可能性が高い」とする回答(選択肢3、4の合計)が2.8ポイント減少した。その一方で、「次世代以降への健康影響」については、ほとんど変化がなかった(0.2ポイントの減少)。いずれも、選択肢1、2の合計は、全体の半分以上(「後年の健康障害」(56.3%)、「次世代以降への健康影響」(58.8%))であった。
図 放射線による福島県民(後年)への健康影響に関する東京都民の意識
図 放射線による福島県民(後年)への健康影響に関する東京都民の意識を3年間で比較
図 放射線による福島県民(次世代)への健康影響に関する東京都民の意識
図 放射線による福島県民(次世代)への健康影響に関する東京都民の意識
詳細レポートでは、図1~図16までの11種類のアンケート結果を紹介している。

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