福島復興への取り組みは、「環境再生」と「地域再生」の二つに大きく分けられる。環境再生は、東日本大震災とそれに伴う原子力発電所事故で拡散・降下した放射性物質による環境汚染の緩和、地域再生は、大規模かつ長期化した避難により毀損(きそん)した地域社会や産業基盤の復活が眼目となる。
環境再生では、長期的に帰還が困難と想定される地域(帰還困難区域)を除き、国・地方自治体により計画された除染が2018年3月末までに完了している。これにより、国が住民に避難を指示し、立ち入りなどが制限される地域(避難指示区域)は県内11市町村から、7市町村(南相馬市、飯舘村、浪江町、葛尾村、双葉町、大熊町、富岡町)まで減少し、県全域に占める避難指示区域の面積割合は8.3%から2.7%まで低下した。福島市・郡山市・いわき市といった主要都市では、除染の効果と放射性物質自体の自然減により、大気中の放射線量が東京や大阪とほとんど変わらないレベルにまで低下している。県内の人口推移をみると、中通り地域・会津地域ではほぼ震災前の水準に戻しているが、避難が長期化した浜通り地域では回復が遅れている。
一方、地域再生については、製造業製造品出荷額や観光客数が震災前の95%程度まで回復し、工場立地件数は震災前の1.8倍になるなど、産業面での復興が進んでいる。復興特需を否定することはできないが、民間投資や求人も旺盛である。交通インフラも、震災時工事中であった常磐自動車道(高速道)が2015年に全線開通し、福島の復興を支えている。また、避難指示区域を縦横断する主要幹線道路は、2014年以降、自動車に限り順次自由通行可能となっている。JR常磐線は避難指示区域内の約21kmで運転を休止しているが、2020年3月末には全線で運転再開の予定である。
このように、県全体としてみれば人口・産業・交通インフラ等地域再生は進んでいる。しかし、避難指示区域を含む県沿岸部の浜通り地域の再生は緒に就いたばかりであり、この地域の再生が福島復興の残された課題となっている。
環境再生では、長期的に帰還が困難と想定される地域(帰還困難区域)を除き、国・地方自治体により計画された除染が2018年3月末までに完了している。これにより、国が住民に避難を指示し、立ち入りなどが制限される地域(避難指示区域)は県内11市町村から、7市町村(南相馬市、飯舘村、浪江町、葛尾村、双葉町、大熊町、富岡町)まで減少し、県全域に占める避難指示区域の面積割合は8.3%から2.7%まで低下した。福島市・郡山市・いわき市といった主要都市では、除染の効果と放射性物質自体の自然減により、大気中の放射線量が東京や大阪とほとんど変わらないレベルにまで低下している。県内の人口推移をみると、中通り地域・会津地域ではほぼ震災前の水準に戻しているが、避難が長期化した浜通り地域では回復が遅れている。
一方、地域再生については、製造業製造品出荷額や観光客数が震災前の95%程度まで回復し、工場立地件数は震災前の1.8倍になるなど、産業面での復興が進んでいる。復興特需を否定することはできないが、民間投資や求人も旺盛である。交通インフラも、震災時工事中であった常磐自動車道(高速道)が2015年に全線開通し、福島の復興を支えている。また、避難指示区域を縦横断する主要幹線道路は、2014年以降、自動車に限り順次自由通行可能となっている。JR常磐線は避難指示区域内の約21kmで運転を休止しているが、2020年3月末には全線で運転再開の予定である。
このように、県全体としてみれば人口・産業・交通インフラ等地域再生は進んでいる。しかし、避難指示区域を含む県沿岸部の浜通り地域の再生は緒に就いたばかりであり、この地域の再生が福島復興の残された課題となっている。