海洋立国である日本の海洋・海事産業規模は約20兆円ともいわれる。しかし近年、海運・造船業は激しい国際競争にさらされており、コロナ禍による海運市況悪化もあり、先行きが見えない状態にある。そうした中、デジタル化の波が海洋・海事業界に押し寄せている。日本海事協会が発表した「デジタルグランドデザイン2030」※1に代表されるように、同業界におけるDX※2推進の動きは今後加速する方向にある。
海洋空間には未活用の魅力的な資源(水産、エネルギー、観光など)があふれており、新たな産業・イノベーションを創出するポテンシャルももつ。これまで、海洋・海事分野は専門性が高く参入困難といわれてきた。しかし、DX進展に伴いノウハウや技術の可視化・オープン化が進めば、海洋空間や船舶など海上構造物を活用した新たな高付加価値サービスの創出が可能となる。ICT・AI・ロボティクスなどの異分野のスタートアップ企業とコラボレーションも期待できる。
例えば、船舶の無人運航による省人化、自動運転やドローンと接続した無人物流システム、衛星データやAIを活用した効率的なIoT漁業・養殖など(図)の新規ビジネスを後押しすると期待できる。特に、海洋環境を仮想的に実現してシミュレーションできる「デジタルツイン」※3が整備されれば、事前に故障や事故といったリスクを把握してその対策を講じやすくなる。これらの可視化やリスク低減は、投資家に対する透明性の確保につながり、海洋空間を活用した新規ビジネスへの投資加速にも寄与する。こうした外部巻き込みを意識することでオープンイノベーションが加速する。
DXによる海洋空間を利用した新たなサービス創出は、日本の競争力強化のみならず、共通の課題を抱える他の海洋国にも展開できる。国連の持続可能な開発目標であるSDGsのうち「海洋資源の持続可能な利用」にも貢献する。今回のコロナ禍などにより中長期的に変化を求められることを機会と捉え、日本が強みとする「海事クラスター」※4をさらにオープン化し、DXを活用した日本の海洋・海事産業の可能性を示すことで、世界の課題解決をリードすべきである。
海洋空間には未活用の魅力的な資源(水産、エネルギー、観光など)があふれており、新たな産業・イノベーションを創出するポテンシャルももつ。これまで、海洋・海事分野は専門性が高く参入困難といわれてきた。しかし、DX進展に伴いノウハウや技術の可視化・オープン化が進めば、海洋空間や船舶など海上構造物を活用した新たな高付加価値サービスの創出が可能となる。ICT・AI・ロボティクスなどの異分野のスタートアップ企業とコラボレーションも期待できる。
例えば、船舶の無人運航による省人化、自動運転やドローンと接続した無人物流システム、衛星データやAIを活用した効率的なIoT漁業・養殖など(図)の新規ビジネスを後押しすると期待できる。特に、海洋環境を仮想的に実現してシミュレーションできる「デジタルツイン」※3が整備されれば、事前に故障や事故といったリスクを把握してその対策を講じやすくなる。これらの可視化やリスク低減は、投資家に対する透明性の確保につながり、海洋空間を活用した新規ビジネスへの投資加速にも寄与する。こうした外部巻き込みを意識することでオープンイノベーションが加速する。
DXによる海洋空間を利用した新たなサービス創出は、日本の競争力強化のみならず、共通の課題を抱える他の海洋国にも展開できる。国連の持続可能な開発目標であるSDGsのうち「海洋資源の持続可能な利用」にも貢献する。今回のコロナ禍などにより中長期的に変化を求められることを機会と捉え、日本が強みとする「海事クラスター」※4をさらにオープン化し、DXを活用した日本の海洋・海事産業の可能性を示すことで、世界の課題解決をリードすべきである。
※1:日本海事協会プレスリリース「『ClassNKデジタルグランドデザイン2030』を策定」(2020年2月)。
※2:Digital Transformation。
※3:IoTなどを活用してサイバー空間上に現実世界の情報を再現する技術。
※4:海運・造船・舶用およびその他関連産業の集合体。日本はこの総合力が強みであり、産業規模も大きい。