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第四次産業革命② -第四次産業革命の3つの構成要素、AI・ロボット・IoE-

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2017.2.23

政策・経済研究センター 主席研究員白戸智

経済・社会・研究開発

第四次産業革命の3つの構成要素、AI・ロボット・IoE

 第四次産業革命を支える中核技術として、AI、ロボットと並ぶもうひとつの重要技術がIoE(Internet of Everything)である。

 インターネットによりさまざまなものがつながる社会は、「コネクティビティ」「ユビキタス」などという言葉で表現されてきた。近年、生産設備や流通など産業面でのICTネットワーク形成が進み、これは“Internet of Things (IoT)”と名づけられた。現在IoTの代表的な動きは、ドイツの“Industrie 4.0”や米GEなどの“Industrial Internet”構想である。これらは、生産設備、流通、消費サイドをICTで結んで、効率的な生産を実現する。米IBMはソリューション側から、クラウドを通じて、API等を通じて収集されたデータに対してビッグデータ解析などを支援する“Internet of Things”クラウド・ソリューションを提案している。

 さらに大きな概念として、米Trillion Sensors Summit社のCEO、Janusz Bryzek氏は、10年以内に1兆(Trillion)個を超えるセンサーが利用可能となる“Trillion Sensor”構想を打ち出した。それを前提に米HPは“Central Nervous System for the Earth”を打ち出し、米Ciscoも“Internet of Everything”コンセプトを提案している。

 我々を取り巻くあらゆる「もの」、空間・環境、それから私たち自身の身体に、無数のセンサーが置かれることにより、全てのリソースが有効活用され、全ての仕組みが最適化される、それがInternet of Everythingの考え方である。

AI・ロボット・IoEの連携 -地球サイズの新たな巨大生命体の誕生-

 AI・ロボット・IoEは相互に連携することによって、さらに大きくこれまでの産業や社会を変える力を持つ。

 無数に配置されたセンサーは生物の体でいえば視覚、聴覚、触感などの感覚器官である。これが神経系を通じて脳・神経中枢に集約され、処理され、筋肉等に指令が出され、最適な動作が実現する。この脳・神経中枢に相当するのがAIであり、筋肉がロボットである。この生物学的比喩のように、機械だけで環境条件にあった一連の最適な動作が実現するのが、AI・ロボット・IoEの連携である。

 例えば、自動運転の車はビデオカメラ、ライダー(レーザーレーダー)などから情報を収集し、これがAIで画像処理・状況判断され、ハンドル、アクセル・ブレーキ操作が行われる。将来的に自動運転の車を集団制御する場合には、個々のクルマからの情報が無線ネットワークで収集され、外部の処理センターや処理ノード、あるいは車載AI同士の協調処理で、個別のクルマのコントロールが最適化される。こうした情報はネットワークを通じてさらにエリア単位で集約され、都市交通の総合制御が行われることも可能となる。

 AI・ロボット・IoEが連携する社会は、あたかも地球全体を覆う新たな巨大生命体が息づく社会である。その生命体は自ら考え、自ら最適化する。我々はこの新たな生命体とともに、生活や産業を再構築していくことになる。
図 AI・ロボット・IoEの連携
図 AI・ロボット・IoEの連携
出所:三菱総合研究所