マンスリーレビュー

2017年3月号次世代インフラ

公共施設の集約・複合化のポイント

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2017.3.1

次世代インフラ事業本部川口 荘介

次世代インフラ

POINT

  • 公共施設の維持費の削減のためには集約と複合化が急務。
  • 地域住民との合意形成が推進の鍵となる。
  • 複数の施設を群に見立て、地域の課題として捉え直す。 
 人口減や財政難から多くの自治体が、公共施設の集約(同じ用途の施設を一つにまとめる)と、複合化(異なる用途の施設を一つにまとめる)を急いでいる。施設をコンパクトにして維持費を削減するためだ。しかし、特に施設の廃止や利便性の低下を伴う計画には、住民からの強い反対意見が出ることが珍しくない。例えば、利用者の少ない公営温浴施設の稼働率を高めるために他施設と場所を集約しようとすると、リピート利用者から遠くなるという不満が出る。児童数の減った小学校に児童館や保育園を複合化する場合には、安全面から不安の声が上がることもある。「住民説明」で行政が一方的に理解を求めても、なかなか納得は得られない。

 これらに対して、最近着実に成果を上げている取り組みがある。当初から住民参加で、計画ごとに合意を重ねていく方法である。その際、施設単体の存廃だけではなく、まちづくり、財政、防災といった一つ上のレイヤーから解を探って議論を行うことがポイントとなる。単体の施設に焦点を当てるのではなく、複数の施設を群として考えることで、公共施設のあり方を地域全体の課題として捉え直す。それにより、住民が「個人」ではなく「社会」の視点で自らの考えを述べるようになり、議論が先に進みやすくなるのだ。

 新潟市潟東地域での取り組みが成功例の一つと言える。そこでは、住民が集まって議論し、公共施設の再編計画を1年間かけて作成した。その結果、20カ所以上あった公共施設を集約、複合化し、17カ所にすることが決まり、施設維持費の大幅な削減と施設利便性の向上に加え、まちづくりの議論も深まった。

 総務省の要請により、各自治体は今年度中に公共施設などの総合的な管理計画を策定することとなる。来年度からは、多くの自治体で公共施設の総量削減に向けて計画が実行されるだろう。その際、行政が決めて住民の理解を求めるのではなく、「住民と行政がともに考える」ことと、「1段階上位の視点から考える」という方法論が、各自治体で進められることを期待したい。
[図]集約・複合化の例と効果

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