マンスリーレビュー

2017年3月号 デジタル・イノベーション

行政への問い合わせ対応サービスをAIで改善する

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2017.3.1

社会ICT事業本部村上 文洋

デジタル・イノベーション

POINT

  • 行政サービスのAI活用として、子育て支援情報提供の実証実験を実施。
  • 住民サービスの向上と行政職員の働き方改革に、寄与することが判明。
  • 実用化にはデータの集約、共通フォーマット化、蓄積の自動化が鍵。 
 AIによる医療診断や自動運転など、社会のさまざまな領域でAIの活用が本格化する中、行政サービス分野でもAIの活用が始まっている。

 住民ニーズが多様化し行政制度が複雑化する自治体では、限られた財源の中で、住民に対する機動的な対応とサービス品質の向上が求められている。この課題に対し、従来の業務集約や民間委託では十分な解決が図れず、より有効な対策が必要となっている。ここに、住民の利便性を高めつつ、同時に職員の生産性向上にも寄与する行政サービスとしてAI活用への期待が高まっている。

 2016年9月、AIと対話することで必要な子育て支援情報が得られる、問い合わせ対応サービスの実証実験が行われた。当社はこのサービスの開発に参画し、多くの知見を得ることができた。実験は川崎市と掛川市の協力を得て実施されたが、24時間いつでも気軽に利用できる点が評価され、利用者の約9割がサービスの継続を希望する結果となった。特に、スマートフォンでチャットするやり方は、利用者が行政担当者と会話する感覚で簡単に必要な行政情報を入手でき、好評だった。

 AIによる問い合わせ対応サービスは、行政職員の働き方改革にも寄与することが分かった。実験に参加いただいた行政職員の方々から、問い合わせ対応をAIが代替することで業務負担が軽減されたほか、蓄積したデータを分析して住民ニーズを的確に把握したり、ベテラン行政職員のノウハウを蓄積して継承したり、庁内横断で情報共有を進めたりすることで、業務効率化や生産性向上が期待できるとの意見をいただいた。

 一方、AIの活用にはデータの整備が不可欠だ。庁内に散在している情報を共通のフォーマットで集約し、日常業務の中で自動的にデータが蓄積される仕組みを設けて、行政職員の作業を効率化する必要がある。また、自治体間でもデータの仕様の共通化を進め、全国の自治体が利用できる共通のサービスとすることが望ましい。

 住民、行政職員の両者にとって有効なこのサービスの実用化や全国への普及に向けて、当社は引き続き積極的に取り組んでいきたい。
[図]川崎市の実証実験の概要(スマートフォン画面イメージ)

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