ワイヤレス充電を実装するためには、インフラと車両の双方について、既存の法制度への適合と新技術に対する制度整備の観点から制度設計を考える必要がある。道路法、電波法、電気事業法、製造物責任法など多岐にわたる既存の法規に従い、安全なワイヤレス充電器の設置や、車両への受電コイルの搭載、送受電コイル間の電力伝送を行うことが重要だ。
特に、インフラについては路面下の地上側送電コイルや、路側の電源設備など新たな機器を設置することになる。機器の設置にあたっては、関連法規における明確な位置づけが求められる。さらに路面下に埋設する深さ、充電器の最大出力などの諸条件について、法律や規則に基づいた設計、設置の技術的なガイドラインなどを定めなければならない。
車両についても同様で、衝突時の安全性なども踏まえ、車両への受電コイル搭載に関する基準を設ける必要がある。
さらに機器の標準化も不可欠だ。インフラ側、車両側の開発に取り組むメーカー、事業者は国内外に複数存在する。現時点では企業独自で研究開発がなされている段階にあり、特定の車両は特定のワイヤレス充電器でしか充電できない。将来的には、「どのモビリティでも、どのワイヤレス充電器でも充電できる」標準規格が求められる。