マンスリーレビュー

2017年9月号トピックス6デジタル・イノベーション経営コンサルティング

SNS時代に求められる商品戦略とは

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2017.9.1

政策・経済研究センター劉 瀟瀟

デジタル・イノベーション

POINT

  • 情報を大量に拡散させるSNSの普及で消費者市場が変質している。
  • 購買力と口コミ力の強い「アクティブ・イノベーター」が重要な存在に。
  • 彼らの10%超に受け入れられる商品づくりが今後のポイントになる。
消費市場では従来、新商品が出ると真っ先に購入するイノベーター(消費者全体の2.5%)と、情報を能動的に集めて買うかどうかを決めるアーリーアダプター(13.5%)に受け入れられれば、普及が本格化するとされてきた※1

かつては、イノベーターやアーリーアダプターが、購入した商品の使い勝手などを口コミとして他人に伝えるチャネルが限られ、情報流通では企業の広告宣伝が絶大な力を発揮していた。しかし、インターネット普及に伴い商品比較サイトが出現したことで状況は変わり始めた。そして、フェイスブックやツイッター、LINEなど、スマートフォンで手軽に情報を収集・発信できる会員制交流サイト(SNS)の浸透で、口コミの重要度は劇的に強まった。商品の評判や類似品との違いなどの情報が、以前とは比較にならないスピードと規模で拡散し、シェアされるようになったからである。

2017年6月のSNS利用率は73.2%※2に達した。商品の本格普及には、口コミがSNSでシェアされることが大前提になりつつある。こうした中、市場の読み解き方にも変化が求められているのではないだろうか。

そこで、先取り力と口コミ力を兼ね備えた消費者を「アクティブ・イノベーター」と定義したい。実際、2011年時点でアクティブ・イノベーターの10%超が所有していた商品はおおむね、5年後に市場全体での普及が著しく進んでいた(図)。

中国版のアクティブ・イノベーターとしては、網紅(ワンホン)と呼ばれる人々がいる。企業が商品を売り込みたい層への影響力が強い有名人を指す。彼らの人気の源泉は、SNSで投稿を読むファンである「フォロワー」の数だけではない。本人がイノベーターとして実際に商品を愛用していることを、消費者に認識されているかどうかが、重要な評価ポイントになっている。

企業にとっては今後、アクティブ・イノベーターを探し出して活用することが、マーケティングの要となっていくだろう。彼らの10%超に愛用されるような商品づくりができるかどうかが、市場を制する鍵となる。

※1:1962年に米スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャース教授が提唱した理論による分類。

※2:当社の生活者市場予測システム(mif)による。インターネット利用人口に対するSNS利用者の比率。

[図]アクティブ・イノベーターへの浸透度と全体の普及率との関係

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