マンスリーレビュー

2018年5月号 次世代インフラ

外国人労働者による下支え効果

同じ月のマンスリーレビュー

タグから探す

2018.5.1

次世代インフラ事業本部土谷 和之

次世代インフラ

POINT

  • 外国人労働者が120万人突破、企業の人手不足が背景。
  • 地域経済の押し上げ効果は年間7,000億円程度。
  • 一定の役割を果たしており、受け入れ環境整備が必要。  
 2017年10月末時点の外国人労働者数は約128万人。前年同期比18%の急増となり、過去最高を更新した。在留資格別に見ると、留学生(資格外活動)が24%増の25万9,600人、技能実習生が22%増の25万7,800人と大きく伸び、全体を押し上げている*1。背景には人手不足に悩む企業が、外国人を積極的に採用している事情がある。

 外国人労働者についてはさまざまな議論があるが、地域経済への効果に限って着目してみよう。2017年10月末時点で外国人労働者の31%が東京都に住み、2位以下の愛知、大阪、神奈川、埼玉を合わせた五つの都府県に半数強が集中している。都道府県内の就業者全体に占める割合を見ると、東京の約5%に対し、群馬、三重、静岡、岐阜など地方部でも2~3%と、相対的に高めとなっている*2。業種別には製造業が最多だが、最近は人手不足の建設業や卸売り・小売業、宿泊サービスに従事する例が増えている。

 外国人を雇用する理由として、中小企業の28%が「人手不足」を挙げているとの調査結果がある*3。そこで、「外国人労働者の28%が人手不足解消に貢献している」と仮定、「外国人労働者数×年間賃金×28%」として、都道府県別に総生産押し上げ効果を試算した。全国計では年間約7,000億円*4と、2017年のインバウンド消費の対前年増加分である約6,700億円に匹敵している。地域別総生産を押し上げた率で見ると、トップの東京(0.22%)に続く2位に岐阜(0.20%)が入るなど、地方部でも効果の大きい県がある(図)。

 外国人労働者の受け入れは社会的なコスト増につながる側面もある。だが、彼らはすでに地域経済において一定の役割を果たしていると言えよう。

 ただ、日本政府はこれまで、「単なる労働者不足への対応としては、外国人を受け入れない」との方針を示してきた。その結果、限られた職種に関して就労ビザが発給されるにとどまっている。このため、一般的な労働者ではなく、留学生や技能実習生が単純労働を担っているのが実情である。技能実習の期間も五年までに限られている。今後は、外国人労働者を地域でどう受け入れるか検討していく必要があるだろう。
[図]外国人労働者による地域別総生産押し上げ効果(2017年10月末時点)

*1:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」から引用。

*2:これらの地域では南米からの日系人などを中心とする外国人労働者が多く、日本語教育、防災、コミュニティ形成などの面で外国人を支援する施策が数多く実施されている。

*3:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業における外国人労働者の役割~『外国人材の活用に関するアンケート』から~」(2016年12月)。

*4:外国人労働者の賃金については公式統計がないため、上述の日本政策金融公庫総合研究所のアンケート結果から推計した。

バックナンバー

関連するナレッジ・コラム

もっと見る
閉じる