マンスリーレビュー

2017年7月号 次世代インフラ

長距離輸送における物流危機 荷役作業の自動化を目指せ

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2017.7.1

次世代インフラ事業本部加藤 二朗

次世代インフラ

POINT

  • 長距離ドライバー不足の解消には労働環境の改善が必要。
  • 作業負担が大きい手荷役を荷主と物流事業者が連携して改善するべき。
  • パレットの導入を推進し将来の荷役自動化に備えよう。  
 宅配便をはじめとする物流業界の人手不足が深刻化する中、都市間の長距離ドライバー不足があらためて注目を集めている。トラックによる輸送のうち、輸送距離が100km以上の貨物は約80%(トンキロベース)を占める。長距離ドライバー不足は、私たちの生活に支障をきたしかねない。人手不足の主因であるドライバーの労働環境は急ぎ改善する必要がある。

 ドライバーの労働環境を改善する手段は大きく三つ考えられる。一つは、国土交通省や経済産業省が2022年以降の実用化を目指す高速道路における自動運転。先頭車両以外の後続車両を無人化し、貨物列車のように連なる隊列走行などで物流の効率化を図る。二つ目は物流事業者による、ドライバーの賃金や労働環境の見直し。そして第三の手段が、運転の前後に発生する「荷役作業」の改善である。

 荷役作業とは物流拠点でトラックに貨物を積み下ろしする作業で、多くはドライバーが手作業(手荷役)で行っている(図)。ドライバーの就労環境を改善する上で手荷役を見直す効果は大きいと考えられる。

 手荷役を改善するには荷主の協力を得てパレット*1の導入を促す必要がある。日本物流団体連合会によると、「手荷役が行われる理由」の1位と2位はそれぞれ「荷主が積載量を多くしたい」と「荷主がパレットなどを流出させたくないまたは、パレットなどの利用を認めていない」であり、荷主の意向が強いことがわかる。荷主と物流事業者が連携して物流拠点にフォークリフトを配置できれば、パレットのまま荷物の積み下ろしが可能になり、ドライバーの負担は大きく低減される。

 一部ではあるが、既に倉庫内での荷役の自動化は実現されている。最終的には、パレットも不要となるよう、ロボット技術などを導入して荷役の完全自動化を目指すべきではないだろうか。トラックの自動運転が実現する新時代に向けて、荷役作業でも新技術を活用する準備に着手する必要がある。今ある物流危機を乗り越えてドライバーに頼らない物流体系の構築が現実のものとなるだろう。

[図]物流事業者における手荷物役の実施状況

*1:荷物の保管、構内作業、輸送のために使用される荷台。「平パレット」(110×110×1.44cm)が一般的であるが、シートタイプ、ボックスタイプなどの形状もある。

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