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2018年1月号トピックス1次世代インフラ

「ダイナミックマップ」を新たな社会情報基盤に

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2018.1.1

次世代インフラ事業本部林 典之

次世代インフラ

POINT

  • 自動運転のための要素技術としてダイナミックマップが注目されている。
  • さまざまな分野に活用可能であり、新たな社会情報基盤となりうる。
  • 建設や物流における新ビジネスへの応用も期待されている。
交通事故発生件数や死傷者数は近年減少傾向にあるものの、高速道路上の落下物や高齢者の運転ミスなどによる自動車事故は後を絶たない。安全対策の切り札の一つとして、自動走行システムの実用化への期待も高まっている。

自動走行システムでは、車両に搭載される各種センサーに加え、高精度の3次元地図データや渋滞情報、規制情報などの動的(ダイナミック)なデータを活用することが重要なポイントとなっている。現在日本では、これらの動的データと路面・車線情報などの静的データを統合したデジタル地図「ダイナミックマップ」(図)が、内閣府や「ダイナミックマップ基盤株式会社」※1などによる産学官協働体制のもと、急ピッチで開発されている。2018年度中には、全国の高速道路および自動車専用道路約3万kmの高精度3次元地図データが整備される。数cm単位の高精度な位置特定を可能とする準天頂衛星システムなどとあわせ、将来的には、高速道路上で数km先に存在する障害物の位置を車線単位で正確に検知し、衝突を回避するよう車両を制御するといったことも可能になると考えられる。

ダイナミックマップの作成過程では、道路上や道路周辺に存在するさまざまな物体(建物、歩道橋、電柱・電線、造成面、看板、植栽など)の位置や形状のデータを一括して把握できる。このビッグデータの応用範囲は広く、さまざまな分野に活用できる新たな社会情報基盤となりうる。現在、道路や電柱・電線などのインフラ施設の維持・管理、土砂崩れや水害などの危険がある場所の検知への活用などが検討されているが、さらにドローン飛行空間の設定・管理、デジタルサイネージ※2を含む広告物の設置・管理といった、幅広い活用も考えられる。

建設業や物流業などに与えるインパクトも大きい。i-Construction※3などの取り組みとも連動し、建設現場における建機の制御による生産性向上や、ロボットを活用した物流の効率化・最適化などにも貢献できると考えられる。新たなビジネスチャンスの拡大にもつながっていくことが期待される。

※1:2016年6月に電機、測量、地図、自動車などの各社共同出資により設立された高精度3次元地図データの整備・普及を目的とする会社。2017年6月には産業革新機構の参画を得て企画会社から事業会社に移行。

※2:デジタル技術を活用した、映像表示装置などの広告媒体。

※3:調査・測量から設計・施工・維持管理までの建設業務にICTを活用して生産性向上を図る取り組み。

[図]ダイナミックマップの概念と活用の方向性

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