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2018年1月号トピックス6科学・安全

「サポカー限定免許」は現実的な交通事故対策

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2018.1.1

政策・経済研究センター プラチナ社会センター佐野 紳也

科学・安全

POINT

  • 高齢ドライバーによる事故の問題は深刻化しており対策が急務。
  • 自動車は高齢者の生活に不可欠なため免許自主返納は途上にある。
  • 安全性を高めた「サポカー」限定の免許交付こそが現実的な解決策。
高齢ドライバーの事故対策が喫緊の課題となっている。交通事故による死者のうち、65歳以上の高齢者が占める割合は2016年に、過去最高の55%に達した。運転免許保有者が交通事故で最も過失の重い「第1当事者」と判定された比率(2016年実績)は、未成年が最も高く、年を重ねるごとに、55~59歳までは低下し続ける。しかし、その後は再び上昇傾向に転じ、75歳以上では平均を上回る※1。自動車を持つ傾向の強かった世代が年を重ねるのに伴い70歳以上の免許保有者は増え続けると予想され、高齢者が引き起こす交通事故の問題はさらに深刻になりかねない。

自治体は高齢者へのIC乗車券交付やコミュニティバス導入を通じて、運転免許の自主返納を促しているが、大きな進展は見られていない。身体機能が低下した高齢者にとって、車は自立した生活を行う上で欠かせない手段となっているからだ。当社の調査※2によると、自動車を保有・利用している理由を「買物時の移動や荷物の運搬手段として」と回答した割合は20代で59%だったが、70代では84%に達した。「(自動車関連以外で)自分の趣味・趣向を満たすため」との回答率も、年齢とともにアップ(図)する傾向にある。

免許の自主返納が加速すると、かえって高齢者の交通事故死が増えてしまう恐れがある。徒歩や自転車での移動時の方が、自動車を運転している場合よりも、事故に遭った際に死亡する確率が高いのは自明だからだ。

そこで、現実的な策として、「サポカー」限定免許の必要性を強調したい。サポカーは、自動ブレーキなどの新技術を導入して一定以上の運転支援機能を備えた「安全運転サポート車」の愛称だ。前方に壁などがある場合、間違えてアクセルのペダルを踏んだとしても車体が一気に飛び出さないような車種は「サポカーS」と呼ばれる。

高齢者に運転免許を自主返納させるような、一律的な策だけでは、高齢社会への有効な対応としては不十分である。身体能力があまり低下せず、一定以上の判断力を保っていると認められた高齢者にサポカー限定免許を交付すれば、高齢者の生活の利便性を保ちつつ、交通事故を抑制できるのではなかろうか。

※1:警察庁「平成28年における交通事故の発生状況」。

※2:三菱総合研究所「生活者市場予測システム(mif) 」による調査
対象:全国の20~80代の男女。
調査時期:2017年6月。
調査方法:ウェブインターネット調査。

[図]自動車を保有・利用している理由(世代別)

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