① 世界経済:グレート・モデレーションが再来
2017年の世界の実質GDP成長率は、前年比+3.6%(2016年は同+3.2%)へと伸びる見通しだ※1。成長率の振れ幅も小さく収まり、企業や投資家がリスクをとりやすい環境になっている。安定的な景気拡大期を意味する「グレート・モデレーション」の再来との声も聞かれる。
② 金融市場:不確実性を打ち消す強気が継続
背景には、米国の減税期待に加え、FRB※2による金融政策正常化が緩やかなペースで進められることへの安心感、IT企業への成長期待などがある。特に、「AGFA」※3と称される米国IT企業に加え、テンセント、アリババなど中国IT企業も健闘。デジタル時代の米中間でのプラットフォーマー争奪戦を印象づける年となった。
③ 米国:政策停滞も共和党支持層から根強い人気
こうした政策停滞にもかかわらず、トランプ政権に対する共和党支持層からの支持率は高く、レーガン政権に並ぶ。背景には、失業率が2000年以来の水準まで改善する一方、働き盛りの35-44歳男性の労働参加率は依然として低水準にとどまるなど、労働市場における「負の履歴効果」※4や格差の固定化の問題がある。結果、米国社会に分断が生まれ、一部の層が政権を根強く支持する形が続いている印象だ。
④ 中国:世界の大国“舞台の中央”を狙う
中国を強国実現へ駆り立てるのは、「中華民族の偉大なる復興」への夢だ。中国4千年の歴史を振り返れば、新興国に甘んじていたのはアヘン戦争後のわずか150年間にすぎない。明朝や清朝の時代に、世界GDPのうち30%を誇った中国のシェアは、1950年に5%まで一時低下したものの、2016年には25%まで回復している※5。習政権は「中華民族の偉大なる復興」を実現可能な目標として見据え始めたのではないか。