再生可能エネルギーの高値買い取りを電力会社に義務付ける「固定価格買取制度(FIT、2012年開始)」が呼び水となって、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の設置が 進んできた。普及拡大の流れを受けて国は、2030年には再生可能エネルギーが、主力電源となり、電力量ベースで22~24%(うち太陽光は7%程度)を担うと試算している※1。
だが、FITによる買い取りは最長20年間のため、2032年には安定した高値で売電できないメガソーラーが出始める。民間事業者の大半が利幅縮小を嫌って廃業に走れば、再生エネルギーの主力電源化は遅れ、2050年に低炭素社会へ移行するという目標の達成も厳しくなる。資源エネルギー庁は、蓄電池設備の併設促進を通じ、電気を一時的に貯めてから売却することでメガソーラーを「安定電源化」する案を示している。しかし、実現に不可欠な蓄電池価格の大幅低下は当面、期待薄である。
メガソーラー事業者は、FIT期間終了後の対応を今のうちから真剣に考えておくべきだろう。大まかな選択肢としては、①再投資や建て替えを経て事業継続、②改修しつつ事業継続、③撤去・廃棄した上で地権者に用地を返還、の三つが考えられる。その際の判断要素は、用地を所有する地権者の意向や電力市場の動向、改修に必要な設備投資の額、事業を継続した場合に期待できる利回りなどである。
卸電力価格がふるわず計画通りの収益を上げられないと判断した民間事業者が発電を続けることを躊躇する一方、地権者が用地の継続利用を望むケースも多いだろう。そうした場合は、発電設備を地域密着型の新事業者に引き継ぐことも一案である。減価償却済みで資産価値が大幅に減少した設備であれば評価額は低めになるため、地域発の新興事業者でも手が届く。こうした新事業者が近隣の電力会社に対して低価格で卸売りを行えば、地方創生の一助にもなる(図)。
電力には一定の需要がある。そして公益事業でもある。利幅が薄くなったとしても発電を引き継ぐ者は常に存在するのではないだろうか。
だが、FITによる買い取りは最長20年間のため、2032年には安定した高値で売電できないメガソーラーが出始める。民間事業者の大半が利幅縮小を嫌って廃業に走れば、再生エネルギーの主力電源化は遅れ、2050年に低炭素社会へ移行するという目標の達成も厳しくなる。資源エネルギー庁は、蓄電池設備の併設促進を通じ、電気を一時的に貯めてから売却することでメガソーラーを「安定電源化」する案を示している。しかし、実現に不可欠な蓄電池価格の大幅低下は当面、期待薄である。
メガソーラー事業者は、FIT期間終了後の対応を今のうちから真剣に考えておくべきだろう。大まかな選択肢としては、①再投資や建て替えを経て事業継続、②改修しつつ事業継続、③撤去・廃棄した上で地権者に用地を返還、の三つが考えられる。その際の判断要素は、用地を所有する地権者の意向や電力市場の動向、改修に必要な設備投資の額、事業を継続した場合に期待できる利回りなどである。
卸電力価格がふるわず計画通りの収益を上げられないと判断した民間事業者が発電を続けることを躊躇する一方、地権者が用地の継続利用を望むケースも多いだろう。そうした場合は、発電設備を地域密着型の新事業者に引き継ぐことも一案である。減価償却済みで資産価値が大幅に減少した設備であれば評価額は低めになるため、地域発の新興事業者でも手が届く。こうした新事業者が近隣の電力会社に対して低価格で卸売りを行えば、地方創生の一助にもなる(図)。
電力には一定の需要がある。そして公益事業でもある。利幅が薄くなったとしても発電を引き継ぐ者は常に存在するのではないだろうか。
※1:経済産業省「長期エネルギー需給見通し」(2015年7月)に記載。
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/pdf/report_01.pdf