2035年頃までに、もしかしてではなく必ず、次の巨大地震が発生すると言われる。政府が想定する南海トラフ巨大地震の被害額は220兆円、首都直下地震は103兆円と試算されている。東日本大震災での被害額17兆円(推計、ストック被害のみ)との単純比較でも、そのインパクトは文字どおり桁違いである(表)。このクラスの災害が発生すれば、被災地の市民生活や企業の生産活動はもとより、わが国の産業全体にも甚大なダメージが長期にわたって続く可能性が高い。分断されたサプライチェーンが海外に置き換えられてしまい、被災以前の地位を長く失いかねないことは、過去に経験済みである。
もともと地震・噴火・洪水など自然災害リスクが高く、かつその頻度・激しさも増すわが国にとって、災害リスク対策は最も優先度の高いテーマと考えるべきである。災害に見舞われてから対策に追われ、喉元を過ぎれば熱さを忘れることの繰り返しは避けねばならない。忘れぬうちに計画を立て、備えを強化することが肝心だ。
私たちは東日本大震災を体験し多くを学んだ。「想定外」は起こるという認識で「想像を絶する」最大クラスの災害まで想いを巡らすこと。災害・被害の発生を完全に防ぐことは不可能である以上、被害の拡大を少しでも抑える「減災」の発想が大切なこと。発生した被害に対する「回復力」が全体の損失額を大きく左右すること。
政府は、これらの教訓を踏まえ、国土政策や産業政策を含めた「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)」を強く推進するとともに、次の巨大災害、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などを対象とした被害想定を綿密に行い、減災目標を含めた各種対策を講じつつある。ハードウエアとしての国土だけでなく、ソフトウエアを含む社会・経済全体のレジリエンス、耐久力と回復力の抜本的強化を進めることで、災害多発国であると同時に課題解決先進国であるわが国にふさわしい先進事例を世界に示したいものである。
もともと地震・噴火・洪水など自然災害リスクが高く、かつその頻度・激しさも増すわが国にとって、災害リスク対策は最も優先度の高いテーマと考えるべきである。災害に見舞われてから対策に追われ、喉元を過ぎれば熱さを忘れることの繰り返しは避けねばならない。忘れぬうちに計画を立て、備えを強化することが肝心だ。
私たちは東日本大震災を体験し多くを学んだ。「想定外」は起こるという認識で「想像を絶する」最大クラスの災害まで想いを巡らすこと。災害・被害の発生を完全に防ぐことは不可能である以上、被害の拡大を少しでも抑える「減災」の発想が大切なこと。発生した被害に対する「回復力」が全体の損失額を大きく左右すること。
政府は、これらの教訓を踏まえ、国土政策や産業政策を含めた「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)」を強く推進するとともに、次の巨大災害、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などを対象とした被害想定を綿密に行い、減災目標を含めた各種対策を講じつつある。ハードウエアとしての国土だけでなく、ソフトウエアを含む社会・経済全体のレジリエンス、耐久力と回復力の抜本的強化を進めることで、災害多発国であると同時に課題解決先進国であるわが国にふさわしい先進事例を世界に示したいものである。