自動車産業に100年に一度の大変革が起きている。当社の予測によると、自動走行、電気自動車(EV)、シェアリングなどの普及は、業界構造を変えるだけでなく将来の需要にも大きく影響し、2050年の世界自動車保有台数は現状から2割増の12億台にとどまる。従来のエンジン車かつ所有中心で普及する場合は31億台と予測されているのに比べて、約3分の1にすぎない。
こうした時代にあえて自動車を所有する意義があるとすれば、用途、趣味、身体特性、さらにはライフスタイルに合わせたカスタマイズとなろう。
流れを先取りするかのように、トヨタは2018年4月にカスタマイズ専門会社「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」を設立して、モータースポーツ向けから福祉用まで幅広い車種を取り扱っている。また、ホンダが開発した通常2人乗りの超小型EV「MC-β」は独自のフレーム構造を採用し動力系の機能を車台(シャシー)部分に集約させることで、親子3人乗りや運搬向けなどの多様な形態に、車体を変更可能にした。
こうした変幻自在のカスタマイズを可能とするような潮流は、材料・製造技術革新、工場のIoT化によりどんどん強まっている。例えば米国企業ローカルモーターズは各地に分散している小規模工場で3Dプリンターを使い、1日1台のペースで車体の製造・組み立てを可能にしているという。
日本で考えられる未来像はどのようなものだろうか。全国に約2,800カ所存在する自動車修理の優良認定工場が、ローカルモーターズと同じ1日1台のペースで製造・組み立てを行うとすれば、年間で約100万台を生産可能な計算になる。これは日産やスズキの現在の国内生産に匹敵する。
最寄りの修理工場に複数の車体を保管して、「今日は高齢の両親を観光地に」「明日は愛犬と海辺へ」といった日々の用途に合わせて服のように「着せ替える」利用シーンが実現するかもしれない。そうなれば全国各地の修理工場が「カロッツェリア」※1へと変貌して、地域経済を潤すことにもなるだろう。
こうした時代にあえて自動車を所有する意義があるとすれば、用途、趣味、身体特性、さらにはライフスタイルに合わせたカスタマイズとなろう。
流れを先取りするかのように、トヨタは2018年4月にカスタマイズ専門会社「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」を設立して、モータースポーツ向けから福祉用まで幅広い車種を取り扱っている。また、ホンダが開発した通常2人乗りの超小型EV「MC-β」は独自のフレーム構造を採用し動力系の機能を車台(シャシー)部分に集約させることで、親子3人乗りや運搬向けなどの多様な形態に、車体を変更可能にした。
こうした変幻自在のカスタマイズを可能とするような潮流は、材料・製造技術革新、工場のIoT化によりどんどん強まっている。例えば米国企業ローカルモーターズは各地に分散している小規模工場で3Dプリンターを使い、1日1台のペースで車体の製造・組み立てを可能にしているという。
日本で考えられる未来像はどのようなものだろうか。全国に約2,800カ所存在する自動車修理の優良認定工場が、ローカルモーターズと同じ1日1台のペースで製造・組み立てを行うとすれば、年間で約100万台を生産可能な計算になる。これは日産やスズキの現在の国内生産に匹敵する。
最寄りの修理工場に複数の車体を保管して、「今日は高齢の両親を観光地に」「明日は愛犬と海辺へ」といった日々の用途に合わせて服のように「着せ替える」利用シーンが実現するかもしれない。そうなれば全国各地の修理工場が「カロッツェリア」※1へと変貌して、地域経済を潤すことにもなるだろう。
※1:イタリア語で自動車の車体をデザイン・製造する業者。初期の自動車メーカーはシャシーやエンジンを製造し、カロッツェリアがその上に車体を組み立てた。職人のセンス次第では、同じ車種でも1台ごとにデザインが異なる場合があった。