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2019年10月号トピックス5経済・社会・研究開発

2050年に向けては価値追求・自己投資型産業が伸びる

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2019.10.1

政策・経済研究センター酒井博司

経済・社会・研究開発

POINT

  • AI・ロボティクスの進展は価格体系や産業構造を激変させる。
  • 価値追求型と自己投資型の産業が伸びる一方、モノ消費産業は縮小。
  • 企業は既存事業の枠を超えた新事業開拓のために前向きな変革を。
AIやロボティクスなどデジタルの新技術は今後ますます浸透する。企業による消費者ニーズの把握や業務処理の短縮はますます進む。これに伴い価格体系は大きく変わり、産業構造も激変する。モノ消費型の産業が縮小する半面、生活に必須ではないプラスアルファを生み出す価値追求型や自身の価値を高める自己投資型の産業は伸びる。

そうした未来像をうかがう一環として2017年から2050年の間に国内全体の経済規模がわずかながらも拡大するとの前提に立って、未来の産業構造を示す産業連関表を作成※1した。産業別の付加価値増減を定量的に示すため、品目ごとの最終需要の変動だけでなく、電子商取引の拡大や省エネ進展、物流自動化などによる中間投入の構造変化も織り込んだ。

2050年に向け、業種別で付加価値が最も落ち込むのは小売業であり、卸売業とともに、電子商取引の浸透を受けて産業規模が縮小する。デジタル化によるリモートワークの普及などで職住接近の必然性が薄れて、家賃の高い物件に縛られなくなることから、住宅賃貸業も縮小すると見込まれる。自動車もシェアリングが進むことで活用度は高まるものの、販売台数は減少する。

一方、価値追求型の産業として、モノ自体を買うのではなく、利用の頻度や量に応じてお金を払うサブスクリプションモデルが浸透する。その代表例であるカーシェアやライドシェアなど「その他の対個人サービス」は、10兆円を超える付加価値増を見込める。それ以外の価値追求型としては、個人のこだわりに起因する飲食サービスや娯楽のほか、デジタル化の基盤である通信・インターネット関連などの産業も伸びる。教育のような自己投資型産業も規模を拡大させていくだろう(図)。

企業にとっては、こうした産業構造の変化に対応して、モノ消費型事業への依存度を下げる一方、価値追求型や自己投資型の事業を伸ばす力を顕在化させることが重要になる。そのためには、既存事業の枠を超えたオープンイノベーションやポートフォリオ再編のような、新事業開拓のための前向きな変革が求められよう。

※1:未来の産業連関表は、個別に検討した最終需要と中間投入構造の変化を、ベースとなる直近の産業連関表(SNA産業連関表2017年版)に取り込み、縦方向(中間投入と粗付加価値からなる投入側)と横方向(中間需要と最終需要からなる産出側)を整合的に調整することで作成している。

[図]2050年に向けた産業構造の変化予測(単位:兆円)

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