いかがだっただろうか。ここに挙げた事例は、われわれがDIOコミュニティと呼ぶ組織に関わる人々に対して行ったインタビューを通じて作成した人物像だ。
第2回までに取り上げた事例のように、多くの人が関わり、外部の力も使いながら運営されるコミュニティでは、1人ひとりが関わらなければならない時間は少なくなる。そのため、より気軽に、「自分が本当に欲しいものは、自分たちで作り出す」活動に加わることが可能だ。その結果としてDIOコミュニティが広がれば、今回取り上げた2人のような生活の変化は決して珍しいものではなくなるかもしれない。
DIOコミュニティが広まった世界で、人々に起こる生活の変化のポイントは2つあると考えられる。
第1に、消費行動の変化だ。本当に欲しいモノ・こだわりたい領域のモノを自分たちで生み出すプロセスを体感すれば、これまでのように無意識のうちに既存の製品・サービスで間に合わせるのではなく、同じ課題・ニーズを持つ人たちと一緒に本当に欲しいモノを作る、という新たな選択肢が生まれるだろう。
第2は、労働に対する考え方の変化だ。これまでは「仕事と余暇」が分離していたが、DIOコミュニティは自分の欲しいモノを作るという「仕事(=プロセス)」を「余暇」的に楽しむという側面がある。仕事でも余暇でもないこの時間は、従来の仕事や余暇の時間の一部にとって代わるものだろう。
このように、DIOコミュニティの台頭によりわれわれの消費行動や時間の使い方は変わる可能性がある。そしてこれらは、われわれの人生をより豊かなものにするポテンシャルを秘めているのだ。