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2019年11月号トピックス6経済・社会・研究開発地域創生

2050年人口減少時代に地域の持続可能性を高める

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2019.11.1

政策・経済研究センター清水紹寛

経済・社会・研究開発

POINT

  • 居住地転出意向調査によると県庁所在市・中核市に人口集積。
  • デジタル技術を活用して地理的な不利を解消。
  • 生活と仕事と文化の調和によって、さらなる持続可能性を。
2050年に人は日本のどこに住んでいるだろうか--。テレワーク、ネットショッピングなど、デジタル化により在宅での仕事や買い物が当たり前となる世界を前提に、どこに住みたいかをアンケート※1で尋ね、都道府県別、都市規模別に人口分布を推計した。東京圏※2への人口集中が継続する一方、地方では県庁所在市・中核市(地方中心都市)に人口が集積し、その他の市や政令指定都市で人口が減少する可能性がある。

地方中心都市の人口集積は、周辺市町村からの流入によってもたらされるものである。現状では周辺市町村の人口は自助努力で維持しがたい状況にあり、地域が総体として持続可能性を高めねばならない。地方中心都市を核にした、文化・経済・地勢を同じくする市町村が集まった圏域を単位に地域が連携し、圏域外への人口流出を防ぐ必要がある。

調査では、将来(2050年)転出先を選択する際に重視する項目も尋ねた。東京圏への転出意向を示した回答者は、「勤務地への距離が近い」「買い物に便利」といったフィジカル面を重視する比率が全体よりも高かった(図)。デジタル化が進展する将来においても、フィジカル面での利点を重視する層が一定程度存在するということである。

各圏域において東京圏への流出を防ぐためには、フィジカル面に着目した対策も必要である。例えば、地方から転出するのは15〜29歳の進学、就職層が最多※3であることを考慮すれば、大学や働く場を地方中心都市に集積することが、若年層の流出防止と都市の活力を支える両面から有効な手だてとなる。しかし、人口が減少する地域にこれまで以上に施設などを集積することは容易ではない。その代替として、大学のオンライン講座やテレワークを利用できるコワーキングスペースを設けるなどすれば、デジタル技術の活用によって立地の不利を解消することが可能である。

さらに、東京圏への転出志向者は「地域の人や文化が魅力的」を重視する傾向が強いことを考慮すれば、生活と仕事と文化が調和した魅力的な都市づくりが重視されるべきであり、圏域をあげて取り組むことで、地域の持続可能性は一段と高まるだろう。

※1:【調査概要】
三菱総合研究所「生活者市場予測システム(mif) 」による調査。現在の年齢や家族構成そのままで2050年を迎えた前提で、どこに住みたいかを尋ねた(サンプル数:5,000人 調査時期:2019年5月)。

※2:東京圏は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県。同市部に町村部を含まない。東京都の23区は含む。

※3:内閣府「大都市圏への移動等に関する背景調査」(2015年4月)

[図]将来の居住地を選択する上で重視する項目

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